豊島逸夫の手帖

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ドル不安だけどユーロも不安&復興支援セミナーin博多のお知らせ!

2011年4月18日

まず、復興支援セミナーを博多で今週日曜日4月24日13:30から開催します。場所はJR博多シティ(いま一番話題で旬のスポット)会議室。会場について、くわしくはこちら。↓
http://www.jrhakatacity-eventspace.jp/meetingroom/index.html

人数はブログ読者数が読めないので、まずは36名にしました。東京や関西と異なり、少数精鋭かつ家族的雰囲気でゆきます。出演者は私だけ。

応募に際しては、最近の感想や聞きたい質問を書いてメールまたはFAXに書いてください。
メール:ga@zas.att.ne.jp (受け付けは終了しております)
FAX:03-3423-3803
※FAXの場合には、受講票をFAXで返信しますから、そちらのFAX番号も忘れずにね。
出演者は私だけ。
参加費=寄付金は、1000円刻みで、いくらでも(笑)。

さて本題。
金を買うことは、ドルへの不信任投票とこれまでも書いてきたけれど、ユーロへの不信任投票でもある。単に金利が相対的に高いという理由でユーロを買っている人達は、短期的におカネを廻している人達。でも彼らとてポルトガルやギリシアを抱えるユーロを長期的に持つことには抵抗感を感じている。

そもそも今なぜユーロの金利がドル、円より上がっているかを考えるには鳥の目が不可欠だ。

ワイマール時代に、ドイツがハイパーインフレを経験しているので、独連銀(ドイツの中央銀行)は、伝統的にインフレに超敏感なのだ。その影響を強く受け継ぐECBは物価が上昇を始めると、早め早めに手を打つ。利上げが早い。その結果、ドル、円に比しユーロが相対的に「高金利通貨」となる。

金利差要因で買われるユーロだが、その構造要因は悪化の一途だ。本欄2月2日付け原稿「PIGS デフォルトか先送りか」で、当時のマーケットを支配していた欧州財政危機後退論に強く釘を刺したが、いまさらのように読み返してみると財政危機の実態がその後も全く進展していないことが分かる。いまやポルトガルに続きギリシアがふたたび俎上に上って来た。

キッカケはギリシア経済存続のための財布の紐を実質的に握るドイツの財務相が独経済誌に述べたコメント。
「ギリシア債務について詳細な分析が上がって来る。もし疑念あれば、何らかの手を打たねばならぬ。」
その何らかとは、debt restructuring=債務の再編とかいうワケの分からない言葉で表現されるので、具体的にどういうことになるかをロンドン、チューリッヒの友人アナリストたちにぶつけてみたら、ギリシア国債の満期を30年に延長するとか、元本62%削減とか、要は実質的デフォルトのようなことだ。

結局、無いものは無い。カネが無いのだから、どうにもならないのだよね。カネが無いからEU(=ドイツ)やIMFがカネを貸してやって、ギリシア国民は給与年金大幅カットに耐えたけれど、利払い含めて借金は増えるばかり。返済計画をギリシア政府がまとめたところで、もはや誰もまともには見てくれない。(今週末のイースターが明けてから発表とのことだが、2015年までにGDP44%相当の歳出削減なんて言われたって出来るわけないよ。)

ギリシアの失業率は1月に過去最大の15.1%。ギリシア国債とドイツ国債の利回り格差は1000bps=10%超え。これは昨年5月のギリシア危機以来の水準だ。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)5年物も1100bps超えで過去最高水準。

ギリシア銀行株はさらに5%下落。マーケットはもう「事前調整型デフォルト」を織り込み始めている。

ただし、スペインは、その後の反省も行動(政策的対応)も殊勝であるとの判断で、PIG参加国とは一線を画す扱いだ。

それから筆者が気になるのがユーロを支えるドイツとフランスの間の不協和音。ドイツがリビア空爆に参加しなかったことで、フランスは面白くない。最近、ドイツは「わが道を行く」という傾向を強めている。フランスには無関心だ。それも経済力の差があればこその態度。だってドイツのGDP成長率はフランスの倍の3.6%(2010)。財政赤字の対GDP比もフランスは7.7%(2010)。ドイツは3.5%(これでもマストリヒト条約で決められた3%はオーバーしているわけだけれども...。)

そもそもサルコジはEUがもっと世界の外交の表舞台に出て存在感を示すべきという派手派。対してメルケル、そしてドイツの基本的考えは、「もう戦争の賠償も十分したことだし、もういいでしょう。我々の好きな通りにやらせてもらいますよ。あまり表舞台には立ちたくない。」というのが本音。ここにユーロのアキレス腱がある。

さーて、土曜日には京都で復興支援セミナーin関西が開催されました。応募者多数のため急遽会場を広くして150名の参加でした。義捐金は691,000円集まりました。

全員ボランティア精神で、和やかな雰囲気。最初の90分は私がもろもろ震災後の日本国債のこととか国際経済のことなど、参加者の質問に答えるカタチでぶっつけ本番本音トーク。最後の30分に亀井さんが滑り込んでくれたので、そこから金の話もしました(笑)。残念ながらスイーツの話までゆく時間はありませんでした。

会場には京大の学生さんたちからシニア層まで。ここでも母娘とか赤ちゃん連れ若夫婦が。徳島、静岡、鳥取など遠方からも来てくれました。日経マネーナイトin京都のときに入院中で外出許可取って参加した方が、今回は全快して健康体で見得られたのが嬉しかったです。

そして山のように差し入れいただき。各種スイーツから京長岡の朝掘り筍からお香セットから。帰りの新幹線で早くも食べ始めてしまい昨日一日でかなり消化しました。佐渡島の近くの粟島から、わざわざ宅配便で地元名物も会場に無事届きましたよ。

これで東京、京都と合わせて、計1,827,500円もの義捐金。これは参加者360人の皆さんの気持ちとして、具体的に使い道が分かる寄付を考えているところです。

Jeff Seminar Index全開で、東京セミナー直前に史上最高値更新。セミナー後に急落。京都セミナー前夜に再び史上最高値更新。中国引き締めもなんのその。筆者は相変わらず史上最高値で宴たけなわの市場パーティーには欠席させていただきます(笑)。

最後にクリントン国務長官来日。日本滞在5時間だって...。

2011年