豊島逸夫の手帖

Page1101 MFグローバル 破たんの影響ジワリ

2011年11月18日

米国の金融大手MFグローバルが破たんしたが、その影響が商品市場に現れている。
商品先物取引を扱っていた会社なのだが、破たんにより投資家が預託していた証拠金が一部しか返還されない。一方、取引口座を別の会社に移管した投資家のポジションの一部に対して、昨晩は株、原油、金とも急落の煽りで追加証拠金がかかった。それが現金不足で払えない。そこで、止む無く売り手仕舞いを迫られる、という負の連鎖が生じたのだ。
ただでさえ、国際金融市場は「疑心暗鬼」状態で、信用収縮が顕著。年末も控えて手元不如意ゆえ金もキャッシュに換えておいて万が一の事態に備えるという投資家心理。
金価格は1800ドルの壁を再突破できず、1720ドル台まで急落。前日100ドル突破したNY原油も急落。NY株は欧州債務危機の米国への波及を警戒して金融株から売られた。対して、安全性を求めるマネーは、またもや米国債市場に流入。10年債の利回りが1%台へ下落。欧州国債市場ではスペイン国債の利回りが危険水域とされる7%に接近。フランス国債も売り叩かれた。こちらでは欧州の安全資産=ドイツ国債頼みの状態。
そのフランスとドイツの関係もECBがもっと南欧国債買い取りを増やして救済すべきか否かを巡りぎくしゃく。筆者流の"例え"でいえば、メルケルとサルコジの仮面夫婦関係がかなり危なくなっている。特に妻のほうが夫より経済力があるからねぇ。。ビミョーだ。

なお、昨晩発表されたワールド・ゴールド・カウンシルの最新金需給四季報については日経電子版の「金つぶ」に書いた。 ↓
www.nikkei.com/money

今週は大阪、名古屋と証券関連のセミナーが続いたが、今の株式市場の実態を最前線で見せつけられた。商品開発にしても組成するのは得意なのだが、なんせ素材がない。金などは、数少ない旬の素材なのだろう。投資家もさぞ凍りついた心理状態なのだろうと見れば、これが、やたらにホットなのだ。会場は超満員で熱気ムンムン。話すほうにも力は入り、制限時間50分がアッという間に過ぎてしまった。
そうはいっても筆者にとって証券系のセミナーはアウエーのゲーム。
金が上がるようでは困る業界だし、アンチ・ゴールドも多い。だからこそ個人的には聴衆の反応が興味深いのだが。。。
株投資でリスクには慣れている人たちだから、下がったら買いということで専ら下げのシナリオについて話してほしいということで「金はどこまで下がるか」というテーマ設定なのだが、果たして、本当に下がったときに買い向かえるリスク耐性があるだろうか。メディアの見出しに「NY金急落。金の輝きは失せた」とおどろおどろしい言葉が並ぶときに敢えて買いに廻れる投資家は少ない。だからこそ一般個人には積立を薦めるのだけどね。

なお、珍しい発注を某機関投資家から受けた。「金をポートフォリオに入れるべきはでない」というテーマで書いてくれとのこと。どうも上からは金をやれという掛声。しかしノン・コアのセクターゆえ社内ノウハウがないからコンプライアンス上からもやりにくいし、やりたくない。そこで思い余って、ということらしい。まぁ、なんとも独立系になったから舞い込んだような話だが、筆者ももの好きで好奇心から受けた。書いてみたら、やたら説得力あったりして(笑)。

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