豊島逸夫の手帖

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ソフト・パッチ(soft patch)

2011年6月6日

懐かしい言葉が最近市場に出回る。ソフト・パッチ。雨のぬかるみ。グリーンスパンがFRB議長だった頃、米国経済に黄色信号がともると、好んで使った表現だ。しかし先週の雇用統計を見ると、もはや赤信号。ぬかるみに車輪がどっぷりハマってしまって動きがとれない制御不能状態だ。

金価格は雇用統計発表を挟んで1525ドルから1545ドルまで急騰した。これについては本日の日経電子版コラムに書いた。

日経電子版コラムは筆者にとってアウエーのゲーム感覚。豊島逸夫の手帖のブログ読者は金に興味があるファンが多いのだが、あちらのコラムは金に興味はない一般読者相手。アンチ・ゴールドも多そう。そもそも株式市場にとって金が上がってもらっては困る。そういう雰囲気の中で書くことが個人的には面白い。従来、商品関連記事は紙面で「端っぱもの」扱いであった。どこまで「市民権」を得るかという挑戦である。これまでのところ、書く記事が閲覧ランキング上位に常に入っているので、滑り出しは好調。(菅政権不信任とか原発関連記事と争っているので、手ごわい。)

アウエーのゲームといえば、一昨日土曜に日本フィナンシャルプランナーズ協会主催の横浜セミナーで講演したのだが、なんと500名近いFPの参加でビックリ。日経ホール並みの規模だ。FPでもアンチ・ゴールドとか金興味なしという方々が多い。 でも、投資家からは、なにかと聞かれる時代。

講演後のツイッターに寄せられた感想を見ても、これまで金にさほど興味なかったが、これを機会にもう少し研究してみよう、という呟きが多かった。これは筆者にとって、とても励みになること。大袈裟に云えば、アウエーのゲームで、うまくアシストできた気分だ。「金を買おう」ではなく、「金を通して世界を見よう」のアプローチが共感を呼ぶのだろうと勝手に解釈している

2011年