豊島逸夫の手帖

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イタリア出身のECB総裁デビュー

2011年10月31日

イタリア出身のECB総裁デビュー

今週は年末までのマーケットの潮流を見るうえで、非常に重要な週。
FOMCで、QE3までは無いにしても、記者会見でバーナンキ氏がどのような形容詞、副詞で米国経済の実態と追加的金融緩和の必要性を表現するか。(11月1-2日FOMC,2日にはFRB議長会見)
そしてフランス人トリシェ氏が10月末で退任し、イタリア出身のマリオ・ドラギ氏(元イタリア中銀総裁)が就任。初のECB理事会が、3日に開催。いきなり利下げするか否かという問題を抱える。これまでの物価安定優先、連続利上げから、成長重視の利下げに金融政策を180度転換するのか。先週、EUが結集して欧州債務危機に対応しようと決議したばかり。当然、ECBにも決起集会で盛り上がったムードを繋いでほしいという政治的圧力はかかろう。一方で中央銀行の独立性を求める声もドイツ中心に根強い。(フランスは自己負担軽減のためECBに積極的な金融緩和を望むが。)EU圏物価上昇率も9月には3%にまで急上昇中だ。利下げか否か、実に悩ましいところだろう。
「イタリア人がユーロの通貨の番人となる時代」については、10月7日づけの日経電子版「金のつぶやき」に詳述した。www.nikkei.com→マネー→金
足元では、イタリア国債の入札結果が芳しくない。10年債利回りが、6.1%前後に上昇。6.5%になると、かなりヤバイ水準だ。そこでECBが、イタリア国債買い取りを強化するか。前任者はかなり抵抗を示した。ともすれば、国債買い取り=対価としてのユーロばら撒きのイメージがまとわりつくからだ。しかし、イタリア出身のECB総裁となるとどうかな・・・。これも注目。
そして4日には毎度お騒がせ、月例行事の米国雇用統計。
かなりのマグニチュードのイベントが続く週である。
金については、基本的に米国経済=ドルも欧州経済=ユーロも不安という投資環境の中で、円と金が買われやすい状況が続く。
1600ドル台で活発化していた新興国金現物買いは、1740ドル台では薄れた。
この水準からは、金ETFなど先進国の買いが引っ張るか否かということは、材料的には欧米経済のマクロ指標が方向性を決める傾向が強まろう。

2011年