2011年4月13日
日本政府のレベル7への引き上げの報は欧米市場にも衝撃を与えた。(福島とチェルノブイリのイメージが完全に重なってしまったから、ここはその違いもきっちり日本発で「広報」せねば。)
リスク回避の流れが強まり、リスクアセット=株も商品も総売り。円キャリー(本欄3月30日付け参照)で原油、貴金属を買ってきた投機家たちは巻き戻しに走る。一連のプロセスをまとめてみると。
低金利通貨の円を借りる
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その円を原油、貴金属で運用する
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昨晩は、その原油、貴金属を売り手仕舞う(巻き戻し)
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借りた円資金を返済するために外為市場で円を買う
かくして83円台まで円急騰。
昨日書いたようにキッカケはゴールドマンサックスの商品売り推奨であった。3カ月後の原油価格予測をWTI99.5ドル、ブレント原油105ドルとして、substantial pullback(相当規模の反落)を見込む。
ただし、あくまで投機マネーによる買われ過ぎ(overbought, overweight)の是正が必要との認識で、長期的なコモディティーのブルサイクル(強気トレンド)を否定するものではない。
筆者流に言えば、投機マネーのドカ雪による新雪が雪崩を起こすであろうが、実需の根雪は残る、ということか。そういう意味では、筆者も同感である。逆に、このまま上に突っ走ってしまう方が、よほど気持ち悪い。
なお、リビア情勢には若干ながらも好転の兆しが見えることも原油売りを誘った。カダフィーが停戦に応じることを示唆するような発言をしたという程度ではあるが。あまりの価格上昇スピードに警戒感を抱き「出口戦略」を模索していた投機筋には絶好の売りの口実となった。
さてツイッタ―でも話題になったが、連日の内陸型地震。国の地震調査委員会が、秋田県から岐阜県にかけての内陸型地震活発化の見通し。
「日本の断層が緩んでいる」「数年は続く」「M7クラスが月一度」とか言われると気持ち悪いね。事務所の高層ビルも自宅も余震のたびのギシギシ音が不安感を与える。建設中の高層ビル屋上のクレーンが大きく揺れる光景が印象的だ。
そして、地震にしても原発にしても、本当のことを言ったら国民がパニックになるから情報を抑えるという傾向が強過ぎるように感じている。被災地の人が「変に希望を持たせるような、頑張ればなんとかなるという楽観論は要らない。頑張るぞと云って回復するなら、何千回でも、そう叫ぶさ。でも実態はなせばなるという精神論を遥かに超えて酷い。本当のところをはっきり言ってもらったほうが、自分達も割り切って今後の身の振り方を考えやすい」と語っていたのが印象的。
震災後の日本は、裸一貫から出直す「新興国」になったつもりで考えねば。先進国ながら新興国というユニークな国になった。これは新興国市場と先進国市場の間を行ったり来たりしているガイジン投資家へのセールスポイントにもなるよ。