2011年6月9日
昨晩、OPEC総会では増産決定が見送られ、サウジ石油相をして「これまで最悪の総会」と言わしめる結果となった。日量150万バレルの供給不足を補うための増産を主張するサウジ、UAE,クエート、カタールに対し、リビア、アルジェリア、アンゴラ、エクアドル、ベネズエラ、イラク、イランは反対。OPECの内部亀裂が露わになった。イランの石油相がOPEC議長に就任しているのだが、「イラン・オリンピック委員」からの横滑りで石油には全くの素人であり、分裂を回避する意志も感じられない。
原油価格は直ちに反騰。しかし金銀価格は反落。この「市況の法則」に反する動きは、今のマーケットが原油高の物価上昇効果より、景気抑制効果を重視していることを映す。とくに米国経済には雇用統計悪化以来、ソフト・パッチ(一時的な経済減速)懸念が急速に強まっている。
昨晩発表されたベージュブック(地区連銀経済報告)でも12地区の中で4地区で経済減速が報告されたが、原油生産地域のダラスだけは減速を免れたことが象徴的だ。中国経済にも利上げによる経済減速懸念が浮上している。そもそも中国のGDPは米国の半分なのに、原油消費量は米国より多い。
総じて、景気スローダウンとインフレーションの同時進行ということでスローフレ―ションなる新語も生まれた。スタグフレーションとなるとリセッション(不況)とインフレの同時進行だが、そこまで酷くはないということでもある。
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