豊島逸夫の手帖

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Sell in May and go away 再び?

2011年4月27日

昨晩は、FOMC前に、(なにがあるか分からないし)、とりあえず、いただけるものは、いただこうという利益確定の一日となった。金価格は1500ドル割れ。結局、大台を回復して戻ってきたが。そして、金の下げ幅(0.3%)の10倍以上下げたのが銀。やはり上がるのも早いけど、下がるのも早い。

投機買いが一部振り落とされたところで、日本時間明日早朝のFOMCを迎える。いつもより2時間早く、日本時間午前1時15分に通常のFOMC声明発表(ここではサプライズは無さそう)。そして午前3時15分から今回初の試みとしてバーナンキの記者会見が始まる。米国経済チャンネルは3時間にわたり臨時特別番組を組むそうだ。(ツイッターで随時中継します)。それほど注目される今回初のバーナンキ記者会見。FRBのグラスノスチと名付けられた。記者団からの意地悪質問にバーナンキがどう答えるか。下手なドラマより遙かに面白そう。

米国債格付け引き下げ見通しが出た後だけに、米国財政政策は財政規律に配慮せざるを得ない政治的状況。財政は緊縮気味になりがち。そこで金融政策には緩和基調を維持して経済政策のバランスを取る圧力がかかる。財政緊縮、金融緩和のポリシーミックスである。

しかし、もしバーナンキが記者会見中に口を滑らせ、鷹派的と解釈できるようなことをのたまえば、キャリートレードの巻き戻しが一気に出る可能性もある。低金利通貨(ドル、円など)を借りてきて売却し、高金利通貨、商品を買って運用するキャリートレードの手仕舞いである。そうなると株も商品も総売り。

さて、マーケットの流れを魚の目で見ると、4月に株も商品も総上げ状態になって、5月はSell in May and go away (5月には売り払って出かけよう)のパターンになりそうな雲行き。思い起こせば、昨年の5月も大荒れであった。

本欄の2010年の見出しをアーカイブで見るだけで 一年前のマーケット騒擾が思い出される。
5月6日  マーケットは激動の連休
5月10日 NY株式誤発注騒動
5月12日 金史上最高値更新
5月20日 表層雪崩
5月21日 マネー擾乱
5月24日 南欧、規制、中国のトリプル安
(注:一年経っても、欧州財政危機、中国利上げなど全く状況が変わらない部分が多いこと!)
5月26日 リーマンショックの再来か

あの時は、とくにプラチナが一晩でグラム400円も暴落する局面もあったっけ。悲鳴に近い読者の相談が相次いだことも記憶に新しい。(喉元過ぎて熱さは直ぐ忘れる御仁も多いけどね。)

Sell in May and go away という言い回し。これはポール・サイモンが「ニューヨーカーの最大の贅沢は、仕事は忙しい時期なれど、気候は最高のNYの5月に、休めることさ」と云ったことに始まる。アウトドアが快適な5月は相場なんか忘れて人生楽しもうぜ、という気持ちだ。まぁ、そのくらいの心の余裕がなければ、結果も良くは出ないものだね。

最後に日経電子版新コラム「金のつぶやき」が、昨日日経夕刊2面で「おすすめ記事」に紹介され、えらい反響がありました。このコラムは週一更新。次の更新はGW明けです。↓
http://www.nikkei.com/money/

2011年