豊島逸夫の手帖

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太平洋を渡る経済津波

2011年6月10日

東日本大震災の経済的影響が、ここにきて米国市場で顕在化。企業業績にもサプライチェーン破断の影響があちこちに出始めた。昨晩は米国貿易統計で貿易赤字が大幅縮小。とくに日本からの輸入が前月比25.5%急減。バーナンキも講演で「ジャパン震災の影響」をはっきり述べていた。

皮肉なことだが、日本の震災が、米国では貿易赤字縮小という米国株の反発要因になり、東証株価も反騰する。日本人投資家としては複雑な気持ちだ。

そして欧州ではECBトリシェ総裁がまた伝家の宝刀を抜いた。利上げを示唆する枕詞strong vigilante を会見で使ったのだ。これでユーロ7月利上げの見通しが強まった。しかし通貨市場のユーロは、「噂で買ってニュースで売る」の展開。

貴金属価格は総上げ。QE3期待の買いとすれば、その梯子が外された場合の失望売りに注意。

それから、日経マネーのムック本「豊島逸夫が読み解く 金&世界経済」(6月21日発売)がアマゾンに載りました。

ツイッタ―では先行告知していたので、すでに90位まで急上昇です。内容は、ドル円50円説についての対談とか、プラチナとパラジウムがパリティー(同価格)になる日とか、結構刺激的です。

なお、昨日の日経夕刊ライフ面で電子版コラム「金のつぶやき」をご紹介いただいたので、今朝は、穀物価格について書きました。

2011年