豊島逸夫の手帖

Page1033 GFMS 短期では1300ドル台後半への調整売り予測

2011年4月15日

GFMSのゴールドサーベイ2010と発表会で使われたパワーポイント・プレゼンテーションに目を通した。要点は以下の通り。

―2011年のレンジは、1319ドル~1620ドル。年平均1455ドル。

―今年のレンジ下値はすでに一月につけたという見解だが、今後3カ月以内にもう一度1300ドル台後半への短期的下げを予測。しかし年後半では1600ドル突破を「強い可能性」としている。
短期的「調整」売りによる下げのシナリオだが、中東北アフリカ情勢のリスク・プレミアムは市場にすでに織り込まれているので、原油が軟調に転じ、他の商品価格も連れて下がると金とて例外ではないという見立てだ。中国金需要も高値圏でこれまでのモメンタム(勢い)を維持することは容易ではなかろう。ドル安の流れもドル・ユーロのレートを見れば、これ以上さらにユーロが買われ続けられるものか。
それでも1600ドルまでの反騰を見込むのは、やはり下値では新興国の買いが強いことは確実だし、財政危機は日米欧に拡散している。先進国が金融緩和から劇的な脱出を遂げる可能性も、中国が強力に利上げに走る可能性も低い。世界的にインフレ傾向も強まろう。
したがってマーケットでは10年続いた金価格のブル・サイクルもいよいよこれでお仕舞いという見方も浮上してきているが、そうはならないだろう。

―需給バランスについてのGFMSの発想は「新産金とリサイクルから成る供給は4334トン(2010年)。これに対して実需(宝飾、工業用需要)は2779トン。この差=1555トンを投資家と中央銀行が買わなければならない。この需給ギャップをGFMSは、market imbalance=市場のアンバランスと呼ぶ。(筆者注 これ、まさに筆者が「金に何が起きているか」の78ページでコモディティー系の発想として述べたことだ。そして、それに対する反論も詳述した。)」
GFMSの説明を続けよう。「At some point=いつの日かは、このアンバランスにより金価格は下落する。しかし、それは2011年、そして、おそらく2012年に相当入ったところでも、その下げは起きないだろう。世界の経済環境の実態がそれを許さない。」

―2010年の需給統計については、これまで速報ベースで発表されてきたが、ファイナルの数字は以下の通り。

(単位:トン)
供給サイド2009年2010年
新産金2,5892,689
公的売却34-
リサイクル1,6951,645
純供給4,3184,334
出典:GFMS"Gold Survey2010"

この供給を吸収する需要項目としては以下。

(単位:トン)
需要サイド2009年2010年
宝飾需要1,8142,017
工業用など697762
公的部門購入-73
鉱山ヘッジ買戻し236103
金地金投資531880
3,2783,835
出典:GFMS"Gold Survey2010"

以上の確認できる需要項目を合計すると、総供給量に499トン足らない。GFMSは、この499トンを個別情報未開示などの要因で確認できないが、欧米中心の投資需要であろうとみなす。英語ではimplied net investmentという分かりにくい単語で表現している。これを日本語に訳してもたぶん日本人読者は困惑するだろう(笑)。

いずれにせよ「投資需要」は新興国中心の金地金投資の880トンと先進国中心の499トンを足した1,379トンということになる。これは2009年の1571トン(金地金投資531トン+implied net investment 1,040トン)に比し192トン減少している。

それでも2009年の金価格が上がったということは、新興国中心の宝飾需要が203トン増えたので需給バランスが崩れなかったということだろう(これが根雪部分)。そこに先物デリバティブなど GFMS需給統計表には出てこない新雪の部分の買いが集中したわけだ。(ここは筆者の理解。サーベイには、そこまでの記述はない。)

―そのほか目についた数字
*金生産国一位の中国(今や二位以下を大きく引き離し独走態勢)の350.9トン(2009年324.0トン)、二位はオーストラリアの260.9トン、三位は米国で233.9トン 四位はロシアで203.4トン、そして、あの南アはついに五位にまで落ちて203.3トン。隔世の感あり。*総生産コストは857ドル。

このサーベイについては、明日の復興支援セミナーin京都でじっくり語ることにします。

なお、明日の京都セミナーも参加者は全員ボランティア精神で。全てセルフサービス。客扱いも配布資料もなし。筆者のぶっちゃけ本音トーク。質問項目を紙に書いて受付時に渡してください。出演者は私だけで司会もいませんが、亀井幸一郎さんが最後の20-30分くらい参加できるそうです。

講師控え室もなく会場をうろうろ徘徊してますから、気楽に話しましょう。本のサインもします。ただし、個別投資&人生相談はキリがないからダメだよ(笑)。

服装はシャツ&セーターのカジュアルで行きます。京都はまだ桜がところどころ残っているそうで、楽しみ♪ ただ、今週はヒノキの花粉が酷くて、ぐしゅぐしゅ状態ですが (-_-;)

金価格は先週の東京セミナー前に史上最高値突破し、終わったら今週の前半は反落。ところが昨晩は20ドル以上急騰して1480ドル接近。日本時間早朝に史上最高値再更新の場面も。相変わらずジェフのセミナー・インデックス絶好調です!

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