2011年10月14日
プラチナがパラジウムと同価格になる日
金・プラチナ値差の逆転現象が加速中。
"プラチナは供給過剰が続き、パラジウムは供給不足が続くと、プラチナとパラジウムが、今後4-5年でパリティー(同価格)になることも考えられる。" トムソン ロイターGFMS社 グローバルヘッドで、来日中のポール ウォーカー氏のユニークな見立てである。(出所:筆者の日経BPムック本「金と国際経済」に収録された対談での発言)
"パラジウムは、実需が供給を上回る。供給不足状態が、既に16年間も続いている。不足分は地上在庫から引き出してきて、実需を賄っている状態なのだ。金も銀もプラチナも、地上在庫は増え続けるが、パラジウムだけは減ってゆく。だからGFMSとしては、パラジウムに強気なのだ。"
"金については、生産コストが下値のサポートになっているが、プラチナについては、それが当てはまらない。実は、南アのプラチナ生産者は、プラチナだけを生産しているわけではなく、同じ鉱石からパラジウム・イリジウム・ロジウムなどのレアメタルが採れる。生産者は、鉱石を複数のメタルのバスケットとしてみているのだ。
もし、パラジウム価格が上昇を続けたり、ロジウムの収益性が高いと見れば、南アの生産者は、その鉱石を増産するから、プラチナ生産も自然に増える。"
"自動車産業は、排気ガス清浄のための触媒を必要としている。この市場で最も成長が見込まれるのは、パラジウムとロジウム。だから南アの生産者は、パラジウムとロジウムに収益源を依存している。
一方プラチナは、いわば副産物としてできてしまうメタルだから、"売らなくてはならない"状態。南アの生産者は、プラチナの宝飾需要を増やしたいと考えている。"
パラジウムといえば、"パラジウム触媒を活用する新有機合成反応の研究"で、根岸・鈴木両教授が2010年ノーベル化学賞に選考されたことが記憶に新しいが、基本的には地味なメタルである。しかし、近年は高騰するプラチナ宝飾品の代替品として、パラジウムジュエリーが中国で注目される現象もあった。足元ではリスク回避の波に巻き込まれ価格下落中だが、過剰流動性が再び循環物色を始めると、割安感のあるメタルに、その買いの矛先を向けるかもしれない。
マネーは、常にmisprice現象の顕著なセクターを追っている。
このトピックについては、来週火曜日のチャリティーセミナーでも掘り下げてみたい。応募状況ですが、平日夜のキビシイ時間帯ゆえ、定員100名に抑えて設定しましたが、現在応募150名程度なので、会場の椅子をスクール形式からシアター形式に変え、皆が参加できるように取り計らいます。今日から週末にかけて、ボランティアの方の献身的協力で、順次受講票をメールで送信します。(これが手間がかかるのだ)。少々お待ちください。(手造りセミナーなので、営業セミナーのような客扱いは無しだからね。(笑))中には、自分の名前書き入れるのを忘れている応募者もいますよ~。心当たりの人は、申し出てくださーい。
さて、事務所を立ち上げる初期設定って、結構手がかかるものですねぇ。日経ヴェリタスで3回連載されたことで、独立が知れるところとなり、まだ名刺も挨拶状も出来ていないのに、沢山の励ましメールやら電話をいただき、立ち上げ作業が中断。以前から受けていた北日本新聞社主催経済講演会で、富山にも出張。小川温泉と金太郎温泉に寄って、温泉評論家活動もしてきました(笑)。泉質がやさしい小川温泉と、硫黄臭ムンムンの金太郎温泉が対象的。ほくほく線経由上越新幹線で、帰京途中には馴染みの越後湯沢に寄って、源泉"山の湯"にも寄ってきました。スキーシーズンには回数券買って、20-30回は通う町営温泉。地元の人たちは皆、山の湯に行きます。多忙ながらも独立したおかげでしがらみから解放され、自由にやってます。
なお、今朝の日経電子版の金つぶは、中国の金資源政策についてまとめました。
「豊島逸夫の金道場」では"金と株の逆相関が崩れる日"を書いています。↓
http://lounge.monex.co.jp/pro/special2/2011/10/13.html