豊島逸夫の手帖

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日本のEU債購入計画

2011年1月12日

野田財務省の欧州金融安定化債(EFSF債)購入発言は、それなりにマーケットの材料となっているが、政権がコロコロ変わりデフレ経済から脱却できない国からのサポート表明と、上げ潮経済の発展途上大国からの支援とでは国際的な印象度もだいぶ違うようだ。いかにも中国に対抗して遅ればせながら手を挙げた印象は否めない。

その中国は外貨準備膨張が継続。3兆ドルの大台突破も見えてくるほど。そこで人民元国際化の動きも徐々に顕在化しつつある。

中国銀行(バンク・オブ・チャイナ)が米国の支店で人民元売買を開始というWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の報道。飲茶ボンドと言われる人民元建て債券の起債例もボチボチ増え始めた。香港証券取引所は年内に初の人民元建てIPO実現に向け、意欲を見せる。

さて、足元のマーケットは先週末の米国雇用統計が期待されたほど改善しなかったことで第二次量的緩和継続が実質確認され、同日のバーナンキ発言でも、経済成長が雇用創出を生むにはまだ不十分との認識。(FRB内ではQE2見直し論も出始めているが。)

総じて前回、魚の目で指摘したように、(貴金属価格が下がっても調整局面であり)上げ基調が変わるはずもない。そこで過剰流動性期待のマネーが貴金属を買い直し始めた。さらにポルトガル財政不安が蒸し返され買い材料に祭り上げられた。

昨晩はプラチナ、パラジウムの上げが目立つ。総じて貴金属総上げモードである。ただし、相場観としては、NY市場内では金高騰バブル懸念の見方が根強く弱気論が台頭しているのに対し、北京、ムンバイなど新興国市場はガンガンの強気が目立つ。先進国売り、新興国買い、あるいは先物手仕舞いモード、現物買いモードの構図がまだ残る。

PS
今年はワークライフバランス改善を決意。この3連休も遊びまくりました。初日は越後湯沢でスキー。温泉入ってから新幹線乗りついで京都へ。夜は行きつけの祇園の小料理屋で海老芋、大根など京野菜三昧。翌日は北近江の長浜で(恒例なのだが)鴨鍋を食する会。カモもさることながら雪下セリとネギがシャキシャキで甘く主役の座を奪う。そして3日目は再びガーラ湯沢でスキー。

しかし、「ライフ」を優先させると「ワーク」にしわ寄せが来るのも当然の帰結。昨日は終日、怒涛の仕事攻勢にタジタジ(笑)。

その中で、中国の市場関係者の話で凄いと感じたことは、中国工商銀行の純金積立口座数が発売1年で早くも100万口座を突破。日本では10年以上かけて業界全体で70万口座がピークであった。それを中国の一銀行が、PRも支店営業もせずに自然体で1年であっさり超えてしまう。いやはや参りましたよ。

2011年