2011年12月28日
欧米ではクリスマスも終わり、今日から気分一新の市場。
いきなり、イラン国営通信が「欧米がイランの原油輸入削減につながる制裁を続ければ、世界への中東原油供給の大動脈であるホルムズ海峡を封鎖する可能性がある。」との第一副大統領発言を伝え、原油急騰。
NYでは、100ドル突破。
「制裁を科せば、重要なホルムズ海峡から、石油が一滴も流れなくなるだろう」と物騒な物言い。既にイラン海軍は、クリスマスからホルムズ海峡で軍事演習を開始している。
最近の地政学的要因は、北朝鮮よりイランが効く。特に、欧米市場では。イラン大統領自ら「イスラエルを世界地図から抹消する」とか、挑戦的発言を繰り返しているし。
次いで、NY市場では、米国消費者信頼感指数が64.5と、前月比9.3ポイントの急上昇。今年4月(66)以来の高水準を記録。
ここのところ、米国マクロ経済統計の出方が良い。
と思ったら、次に発表されたケース・シラー20都市圏住宅価格指数が、事前予測を大きく上回る急落。(前月比1.2%減)。20都市圏のうち、19都市圏で下落である。
まだまだ脆弱な地合いを見せつけられる結果に。
さて、金価格の方はといえば、軟調な地合いでスタート。1600ドルを再び割り込んだ。
外為市場の流れで、日本ではドル円膠着状態、更に円高の嵐の前の静けさかと云われるが、欧米では、基調がドル高気味で推移している。若くてカネ使いの荒いユーロの惨状に懲りて、すごすご古女房=ドル回帰、という感じだ。
そしてドル高は、金の売り材料。
更に、マーケットには、しきりにポールソン(ヘッジファンド)金売却中との噂が流れる。11月から流れっぱなしではあるが、こういう軟調な地合いになると、「噂で売って、ニュースで買う」という投機筋の発想になりがちだ。
実際、売っているかもしれないし。欧米メディアでは、ポールソンの株式ポートフォリオの毀損が事細かに報道されている。株の損を金の益出しで埋め合わせるという、お決まりのパターンが頭に浮かぶのは当然の流れ。
なお、昨日は、日本の貿易統計発表で、今年の金輸出量が過去最高の100トン突破という事実を確認。
詳細は、日経電子版「金つぶ」に書いた。
最後に、下の写真は、ホテル・マンダリンでの海外機関投資家向けセミナー風景。ガイジンのアナリストやファンド・マネージャーが、日本人の金市場への視点に興味を持つようだ。
背景のパワーポイントは、過去5年間の金価格推移。リーマンショック直後の暴落と、今回との比較。形が似ているが、リーマンの時はV字型回復。今回はU字型を予想という話のところ。
なお、1月3日夜の「ガイアの夜明け」新春1時間半拡大で、「ゴールドラッシュの真相」。インド、インドネシア、シンガポール、ロンドン、中国など世界各地の現地映像が満載の予定。