豊島逸夫の手帖

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早くも株、商品総上げ

2011年5月10日

先週の商品市場大雪崩は、マーケットのシャックリだったのか。Flash Crash だったかのように原油、貴金属急反騰。金1511ドル、銀37.80ドル、原油も100ドル台急回復。

金に関していえば、先週金曜発表の雇用統計が好感されたので、金には売り材料のはず。しかし、「ギリシアのユーロ離脱」という噂で欧州財政危機が再燃。ユーロは急落。信用リスク高まる中で、質への逃避として金が買われることに。

予想通り、新興国需要も1500ドル割れでは活発であった。相変わらず、下がっても戻りが早い。銀にもバーゲンハンターの押し目買いが殺到。銀に関しては、日経電子版の新コラム「金のつぶやき」に詳述した。↓
http://www.nikkei.com/money/gold/toshimagold.aspx

本稿執筆時点では、トップページに出ています(「銀バブル崩壊が招いた商品市場の大雪崩」)。後で見るひとはマネーページに行ってください。

しかし、これほどday-to-day(日々)のボラティリティーが高いのは、ボルカー・ルールの余波だと思う。大手投資銀行の自己勘定売買が規制され、買いでも売りでも中長期のポジションなど取れない。短期の売買回転のみである。商品市場に投機マネーが流入し、原油穀物価格が乱高下して庶民の生活が脅かされるとの理由で市場そのものを規制すると、結局、市場の潤滑油である流動性が減少して、ちょっとした売買で値だけが大きく飛ばすことになってしまう。これでは当初の庶民保護の目的が達せられないどころか、さらなる価格変動リスクに晒されてしまう結果になる。

なお、今朝の日経朝刊経済2面の「新興国外貨準備分散に拍車 円高 金高騰 一因に」という記事で、公的金保有量の増加が論じられている。1-3月期のメキシコ93.3トンの公的金購入も、その最たる例であろう。米国から見れば、south of the border(国境の南)の隣国。そのお隣さんが米ドルに不信任状と突きつけたようなものだ。年間生産量2700トン前後から、一国が100トンちかくを外貨準備という形で備蓄退蔵してしまう影響は大きい。今回の金急反騰の最大の理由だと感じる。

2011年