豊島逸夫の手帖

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マーケットの身辺整理

2011年1月26日

米国ではティシューが5%値上げ。マクドナルドも値上げ。素材価格上昇をどこまで消費者に転嫁できるか。株価も忍び寄るインフレの企業業績への影響を無視できなくなっている。

インフレ懸念は利上げ懸念も伴う。株も商品も「利上げ」という言葉を嫌う。インド、ブラジル、韓国、そして中国も利上げモード。ECBの利上げモードは昨日本欄で触れたところ。

そして、FRBはどうでるか。FOMC声明発表前夜、投機筋は一斉に商品売りに走った。NY株も本稿執筆時点(日本時間朝5時)には下落しているが、日中の急落からは戻している過程。要は、State of the Union=米大統領の施政方針演説、FOMC、そして米国GDP速報、その他住宅雇用指標発表が同じ週に重なり、とりあえずリスク資産をsquare(チャラ)にして身辺整理としたうえで、重要イベントに臨もうという流れだ。

話は変わるが、ジムロジャースの最近のポジションは、新興国ショート(売り)、ユーロロング(買い)。「過去3年間、皆が新興国へなだれ込んだので、ヘッジの必要を感じている。ユーロは好調ドイツが引っ張る」。筆者は、当初ジムロジャースのことをかなり引いてみていたが、米国経済チャンネルで何回もライブインタビュー見て、素直に共感するところも多かったし、肩に力の抜けた感じのユーモアも好感持てた。米国CNBCの看板キャスターに「マリア、これからはag biz=農業だよ。君もfarmer=農夫になりたまえ」。完全に食っている。

さて、貴金属は総売り。金は1323ドルまで下げたが、本稿執筆時点では1332ドルまで戻している。代わって、PT、PDの下げがきつい。PTもPDも30ドル前後下げて、1800、800の大台を割り込んだ。出遅れ感からここまで「過剰流動性の循環物色」で買われてきた。先行した金は売られてきた。その流れに変化の兆し。

マネーの回転が早いね。あっちこっちつまみ食いしている。デパート地下で試食ばかりしている感じ。本当に買う気は薄いみたい。

魚の目で見れば、金は底値圏と感じている。先日本欄に新雪と根雪の境を1300ドルとしたが、かなり近くなってきた。値ごろ感を感じる。筆者は強気である。

2011年