豊島逸夫の手帖

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国民が一致団結する最後の機会

2011年3月14日

筆者にとっても激動、激震の1週間であった。まず22年間一緒に暮らした愛猫モモの死。心にポッカリ穴が空いた。放心状態。泣いた。これほど泣けるのかと思うくらい泣いた。腫れあがった目で、水曜日に日経CNBC生出演で、お見苦しい姿を曝した。

そして、第二の故郷、福島を含む東北関東を襲った大地震。原発のある富岡もよく知った所。福島の友人たちからは、とにかく燃料がない。ガソリンも5リットルまで。断水で水がない。参った、と悲痛な声。でも命あれば文句も言えないと。

津波災害と原発のことに至っては、何か言葉で表現しようとしても 空虚に響くだけだ。

専門家は宮城沖大地震を30年以内に99%の確率と予想していたという。そう云われたときに、どう反応するか。考えさせられた。これはマーケットにも教訓だ。公的債務900兆円は増え続け、個人金融資産1400兆円は食い潰され、10年以内に80%以上の確率でこれが逆転する「臨界点」を迎えるとすれば、どう反応するか。やはり切迫感は薄い。しかし、その臨界点を超えれば、日本国債は外国人マネーを求めて、欧米市場の容赦ない津波パワーに翻弄されることになる。

さて、今朝、本欄で特に強調したいことはポジティブ思考。未曾有の天災という危機だが、ここで国内での意見の違いを超えて、日本人が世界に誇る団結力を発揮できれば、日本再生に向けて強力な第一歩になりうる。世界の日本に対する期待感を込めたプラス評価も急伸中だ。

日本にはチカラがある。火事場の馬鹿力と云われようが、力がある。欠けていたものは、チカラの集結だ。バラバラで纏まらなかった。それが今こそ未曾有の危機感で纏まる最後の機会と云ってもいい。

これまでの日本の歴史を辿っても、日本の大転換には未曾有の危機が必要であった。ペリーに大砲つきつけられるとか、広島に原爆落とされるとか。そこから奇跡的な発展、回復を演じた。

本欄で政治の話は扱わないが、今回ばかりは、好む好まざるに関わらず現首相は菅氏であるから、彼にはリーダーシップを強く表現してほしい。テレビで国民に「お願い」するのではなく、国民よ共に「頑張ろう」と熱く叫んでほしい。「お願いさせていただく」ではなく、「津波に負けないパワー全開で一緒に前進しよう」と云ってほしい。

天災は起きてしまった。これを伝統的日本流に「諦念」で受け止めるのか、積極的に日本の再出発点と捉えるのか。我々国民の意思次第である。

2011年