豊島逸夫の手帖

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バーナンキ記者会見を読む

2011年4月28日

今夜9時から日経CNBCで30分の金特番をやる日に、ふたたび金価格は史上最高値に急騰。(1528ドル)

注目のバーナンキ記者会見を最初から最後まで見たが、実に見事な受け答え。おそれいりやした、ベン様。市場が最も恐れていた(昨日本欄でも述べたが)、利上げ、出口戦略を匂わすような発言は出ず。これがマーケットには買いの安心感を与えた。しかも米国経済を表現する言葉として、前回のfirm(強い)からmoderate(緩やか)へ変えたこと、かつ米国経済成長率見通し(2011年)を3.4%-3.9%から3.1%-3.3%に引き下げたことで、ますます金融緩和継続の確信感が強まった。

記者会見中にポロリともらしたコメントが、QE2とてpanacea(万能薬)ではない、のひとこと。深読みすれば、QE3示唆とも取れるような発言だ。米国経済の現状を、digging itself out of deep deep hole(ふかーい、ふかーい穴から這い出そうとしている)と表現。雇用者数もリーマン前に比べればまだ700万人も少ないとも語った。出口戦略までは、a couple of meetings(まだ数回のFOMCミーティングを重ねるだろう)とも。

彼が慎重に言葉を選びつつ、若干、経済の先行きに厳しいニュアンスを滲ませるたびに株も商品も上がってゆく。量的緩和による過剰流動性(ステロイド)依存症の兆候は明らかである。担当医の診断が厳しければ、ステロイド投入量も増えるとの連想だ。

ドルユーロは1.48までドル安加速。市場内は、ドルキャリーで商品が買われてゆく構造。ドル円は日本国債見通し引き下げ(格付け機関)による日本売りと、グローバルなドル総売りのせめぎあい相場。

そして銀も48ドルまで急反騰。プラチナもパラジウムも買われた。金も銀も連休前にここまで上がると、昨日書いたようなSell in May and go away(5月には売り払って出かけよう)の言葉が身に沁みる。連休中も荒れるでしょうが ツイッターで随時コメントします。5月2日と6日は事務局が来ていればブログ更新が出来るかもしれません。

今夜の金特番はこれ↓
http://www.nikkei-cnbc.co.jp/program/special/1104_gold.html (現在公開されていません)
FOMC後、NY市場オープニング直前というビミョーな時間帯に、大手町日経本社スタジオからの生放送です。臨場感はありそう。

2011年