豊島逸夫の手帖

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イタリア人のECB総裁とドイツ人のローマ教皇

2011年11月22日

欧州情勢でなんとなく違和感を感じること。
ユーロ救済のカギを握るECB(欧州中央銀行)総裁がイタリア人。
現ローマ教皇ベネディクト16世はドイツ人。
なんか役回りが逆のような。。。。

それにしても本欄で昨年欧州債務危機はリーマン・ショック第二幕と書いたけれど、第二幕が長い。第一幕がいきなり開き、派手なフィナーレで終わったのと対照的。経済危機をスローモーションで見せつけられているような。慢性症状がジワジワ伝染中だ。
マーケットも焦れている。金などもリスク回避で買われたものの、持ち続ける忍耐が切れてきた。ジッとしていられず売られたり買われたり。
そして、米国の債務問題は、リーマン時の民からソブリンの官に移転したリスクを官が持て余し、民に戻そうとすれども叶わず、という過程。
米国の公的債務リスクは三重構造なので厄介。
まずは、米国債。そしてファニーメイ、フレディーマックの巨大住宅金融公社が発行するエージェンシー債。米国政府の暗黙の保証付きというふれこみで証券会社により機関投資家などに販売されてきた。この二機関で米国住宅金融の8割以上を賄なう。最後に、地方自治体の債務膨張。既に、州の社会サービス提供部分停止などの事態が頻発している。
足元の財政赤字1.2兆ドル削減のための超党派委員会決裂の話にしても、議論は、政府はどこまで「大きく」すべきか、そのコストは誰が払うのか、という根源的問題だ。結論がきれいに出るはずもない。

そして今週は明日の米国感謝祭休日が明けるとブラック・フライデー。いよいよクリスマス商戦入り。
欧州債務危機が米国にも伝染する中で消費がどこまで持ちこたえるか。配送料無料サービスなどで顧客誘引を図るが、実質値引き合戦では収益構造が痛むだけ。まともにどこまで売れるか買われるか。真価が問われる。結局は、ウォール街占拠デモのスローガン「We are 99%」でいえば、「1%」に頼みの様相。

思いつくままに書き続けると、MFグローバルに顧客が預託した資金のうち1000億円相当が戻ってこないようだ。事前予測より倍の数字。こういう例が現金化売りの元となる。
中国で起こった会社不祥事。「中国版オリンパス」という見出し。オリンパスも国際的にそういう代名詞になったか。

今日は、なんとなく取り留めない話になったね。

今週はマネー誌発売の週。
筆者関連の変わり種がネットマネー誌。「私を変えた一冊」。
国際金融を専攻した学生時代に使ったキンドルバーガー著「International Economics」国際経済学の教科書。未だに、経済に迷うと読み返す。既にボロボロ。学生時代に書き込んだメモも残る。キンドルバーガーを変換したら金ドルバーガーと出た。(笑)
そしてOFFの本として、これも写真入りで紹介の本が、池波正太郎「鬼平犯科帳」。粋で迫力あってなんともかっこいい長谷川平蔵。どうしても中村吉右衛門のイメージとだぶる。
冒頭とは異なる次元の、これは笑えるミスマッチ。

2011年