豊島逸夫の手帖

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中国利上げなれど株も貴金属も上昇

2011年2月9日

中国関連では、春節前に第三回目利上げがあるだろうという見方が支配的であった。それが春節最終日発表という意外性はあったものの、おおむねマーケットの想定内といえよう。

そこでマーケットの反応だが、意外にも下がらなかった。これは想定外のシナリオ。そこで慌てたのが、中国利上げを見込んで空売りに走っていた連中だ。本欄では、しばしば「噂で買って、ニュースで売る」と書くが、今回は「中国利上げの噂でカラ売って、ニュースで下がったところで買い戻す」目論見であった。それが一向に下がらない。慌てたショート筋が、ストップロスの買いを一気に入れた。価格は1350ドルから1365ドルへ、アッという間に急騰。結果的に100日移動平均線も突破する結果となり、テクニカルな買いに弾みがついた。昨日述べたように、NY先物買い越し残高がピークの800トンから400トン台まで急減していたので、新規買いも入り易い地合いであった。

じつは、昨晩、売り材料は他にもあった。リッチモンド連銀のラッカ―氏が、景気好転すればQE2(量的金融緩和第二弾)縮小も真剣に検討すべし、との発言。下院予算委員会委員長の共和党ライアン議員は、FRBに早期利上げを促す発言。「牛が牛舎を出てから(インフレになってからの譬え)、慌てて量的緩和でばら撒いたマネーを回収に走っても遅い」。QE2縮小もFRB利上げも、金価格にとっては大きな下げ材料になりうるのだが、市場は無視した。

貴金属市場全体としても、銀が30ドル台回復。プラチナ、パラジウムも続騰と、総上げ状態になった。なお、昨日の本欄では、金について表層雪崩ピーク過ぎたと書いたが、プラチナに先物投機買いポジションのドカ雪が積もり、こちらは表層雪崩警報。

他のマーケットの動きを見ても、中国利上げでも中国経済の長期成長は変わらずとの見方が大勢を占めるようになってきたのだろう。投資家のリスク許容度が低下することはなかった。ここにきてようやく中国利上げの呪縛から解放されたのか。

筆者が現在発売中の日経マネー連載コラム「現場発国際経済の見方」で、今回は「中国バブルの実態」と題して、欧米ファンドが大脳で考える「利上げ=売り」と、北京の金販売第一線で見られた「インフレヘッジの金買いラッシュ」のギャップについて書いているので、あらためて読み直して欲しい。

などと書いてきたが、筆者のお尻にも火が付いている。その日経マネー次号の校了寸前 (-_-;)。連載コラムを早く書かねば。今回は、米国景気回復がホンモノかというテーマで。

なお、最近のツイッターでは、草食系投資の話題が増え、草食投資隊名誉隊長としては、今年、コツコツ女子会を広めたいと隊員たちを鼓舞しております(笑)。女子会というと飲み食べのイメージが強いけど、勉強会があってもいいのでは?

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2011年