豊島逸夫の手帖

Page309

年金の金投資

2007年7月10日

米国最大の年金基金カルパースが商品分野への分散投資方針を詰めている。今年11月までに最高意思決定機関が、商品分野での運用目標ならびに投資方法を討議決定するとのことだ。同基金の運用責任者(CIO)ラッセル リード氏は、天然資源への投資が今後数十年ますます重要になろう、と語る。そのなかで、インフラ投資、植林投資、未公開株、不動産などの範疇(はんちゅう)に比し、商品は流動性があることに注目しているとのこと。

これまでは一部の先端的年金基金に限定されていた動きが、カルパースという年金分野のオピニオンリーダーの方針次第では、かなり拡大することが予想される。

なお、年金基金が金に注目する根拠は、金をポートフォリオに組み入れた場合のリスク分散メリットである。株、債券、ドルなどの伝統的資産クラスと金価格の関係が、逆相関あるいは独立していることが重要なのだ。そこでは相関係数がマイナスあるいは0.0に近ければ近いほど独立していることになる。その判断材料として使われる資料の一例を下記に挙げてみた。

順に、米株(SP500)、各投資分野、そしてドル指数との相関係数を示したグラフである。短期的には市況の法則から外れることも多いが、長期的に見ると、伝統的資産分野からの独立性が見て取れよう。

309a.jpg

309b.jpg

309c.jpg

2007年