豊島逸夫の手帖

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複合構造要因

2007年2月2日

"最後に今回の上げの理由を一言でまとめてください。"1時間のインタビューでも、画面に出るのはせいぜい数十秒。59分は"ウオーミングアップ"で、最後のまとめ1分が勝負である。

そこで、思わず唸ってしまった。一言で言える決め手がないのだ。"ドル安による金高"じゃないよな。直近こそドル反落も見られるが...。ドル円は120円台。どう見ても円高ドル安とはいいにくい環境だ。

"原油高による金高"。たしかに原油は反騰しているが、まだ本格上昇再開とかインフレ懸念強まる、とはいいにくい。

"金利下落による金高"。うーむ。今回のFOMC金利据え置きなどは完全に"想定内"の話だし、一時台頭した利下げへの転換も米経済指標が良いので遠のいた感じだし。

色々考えたのだが、結局こういうことじゃないだろうか。

外為市場のドル高といっても、皆がドルを安心して買っているわけじゃない。こんな赤字国の通貨だけど金利は稼げるから、ま、いいか。でも、長くは持てないな。"ドル高の中のドル不安"心理である。

原油が下がったとはいえ、これで、中国の成長が止まったわけではないし(現にGDPは10.7%成長)、中東が平和になったわけでもないし。所詮、これまではしゃぎすぎたファンドが謹慎蟄居(きんしんちっきょ)しているだけじゃないの。

金利面では、FRBの姿勢に一喜一憂だが、どうみても、米国利上げサイクルは9回表でしょう。延長戦は考えにくい。

という具合にまとめはじめたら、あっというまに5分超過。

結局、"今回の上げの要因は特定しがたいが、複合構造要因によるもので一過性とはいえず持続性がある。ヘッジファンドの回転売買で短期乱高下が繰り返される中、徐々に下値を切り上げよう。"と、まとめたら、素人のディレクター氏、狐につままれたような顔してた。まぁ、"神経質な展開のなかで方向性を欠く"なんていうコメントよりいいでしょ...。

2007年