豊島逸夫の手帖

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バーナンキを迷わせる金急騰 パート2

2007年10月30日

金価格は昨日、日本時間で790ドルを突破。800ドル目前。その後のロンドン、NYでも同水準を維持している。

昨日の日経金融新聞に、GFMS社ポール ウオーカー氏、来年には800ドル、という見出しが大きく出ていたが、ことほど左様にプロの予測を遥かに上回るスピードで連日上げ続けている。やはりバブルの異常さを感じずにはいられない。

フロアーでは相変わらず利下げ幅25ベーシスか50ベーシスかの議論でもちきり。その利下げを決定するFRBは、金価格をインフレの指標としてウオッチしている。金価格800ドルの時に、住宅問題救済を優先させて利下げをせねばならぬ、ということは苦渋の決断であろう。しかも、その金価格急騰の原因が利下げになっているわけで、バーナンキさんはジレンマに陥っているわけだ。(9月7日付け本欄でも今日と同じタイトルで書いたから、今回はパート2なのだ)

マーケットは25ベーシスなら材料出尽くしで調整へ。50ベーシスなら800ドルから更に上昇へ。もし、利下げ見送りとなれば急落。

金市場に限らず、足元の金融市場全般が金利を軸として動いている。債券市場では、ピムコ(債券特化の大手運用会社)の債券王と言われるビル グロス氏が、信用収縮を救済するためにはFFレートが3.5%まで下がる必要があるとコメントして注目された。

そして、ハイイールド債と国債の利回りの差(スプレッド)が再拡大し9月のピークに接近中。これは投資家がリスクに敏感になっている証拠だ。まだまだ信用不安は解消されていない。株式市場では利下げ待望論。外為市場では金利差縮小によるドル安。商品市場では、そのドル安をテコに急騰が続く。ドル建て商品価格は急上昇だが、非ドル通貨建て商品価格の上昇幅はかなり抑制される結果に。

さて、昨日のウオール街の最大の話題は"ゴルフ疑惑"。あちらのゴルフ問題は、先週マーケットをお騒がせしたメリルリンチCEO&会長オニール氏が、サブプライム勃発後8-9月に21回ゴルフしていたということ。その間、サブプライムの損失が9000億円に膨らみ、しかもこれは当初の発表値の倍以上であった。昨日は、彼の更迭と後任の人選の噂でマーケット雀がピーチクパーチク。後任の有力候補が金鉱株ファンドで有名なブラックロックのCEOフィンク氏というのも面白い。なお、オニール氏の退職金は100億円を下らないそうな...。

最後に神様のご託宣を二つ。

金融の神様グリーンスパン様曰く、"原油100ドルになったほうが、皆が真面目に省エネを考える刺激になるから、むしろいいんじゃないの"

投資の神様バフェット様は、中国の投資先巡りの行脚中に曰く、"中国株はバブル。買い尽くされてバリューを感じる銘柄なし"だと。

2007年