豊島逸夫の手帖

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ゴールドサーベイ2006アップデート2要旨

2007年2月8日

先日発表されたGFMS (ゴールドフィールズ ミネラルサービス社)ゴールドサーベイのアップデートをもとに2006年の金需給を概括してみよう。

なお、詳細は本日(2月8日)午後5時からの日経CNBCにナマ出演して解説します。(再放送は同日午後8時6分から)

-総供給量は、価格上昇にもかかわらず、減少。新産金量は2522トン(2005年)から2467トン(2006年)へ。生産上位3カ国が軒並み落ち込む。南ア297→279トン、米国262→257トン、豪263→247トンへ。2007年は若干増加へ。

- 公的売却がほぼ半減。(659→330)。2007年も低水準に留まる。

-スクラップは889トンから1069トンへ増加。特に700ドルを超えた年前半に集中。後半は価格慣れ、先高感により売り戻しも鎮静化。インドは後半のスクラップが38%減。この減少傾向は2007年も継続の見込み。

- 需要サイドは、宝飾、投資が減少。それを、ヘッジ買戻し、そして工業用が補う展開。

-宝飾は高価格が抑制要因。総需要に占める割合も2006年は59%へ。(過去10年平均は73%であった)。とはいえ、2007年は回復傾向。価格慣れ、高い経済成長による所得効果などで。
地域別には、インドが前半48%減から後半43%増へ劇的な回復。中東は前半31%減、後半11%減。中国は高度経済成長に支えられ通年で11%減に留まる。

-ヘッジ買戻しは86トンから403トンへ急増。特に年前半、大型合併に伴うヘッジポジション整理が集中。(前半296、後半108トン)。2007年は、(業界再編の動きなければ)頭打ち傾向か。(と書かれたが、早速1月に南アのM&Aに伴い30トンが買い戻された。)
なお、ヘッジ残高は1999年のピーク3277トンから1334トンまで減ってきた。

- 投資需要は減少したが、投資意欲の後退ではなく、売り買い双方向の取引量が増加したためである。2007年には増加の見込み。

-価格動向は、明らかに上昇余地あり。執筆時点では600ドルそこそこだが、2007年には、この水準が安値になるかもしれない。とはいえ、650ドルを超えると、725ドルの高値を抜くためには、劇的な地政学的要因(イランへの軍事介入など)が必要。

2007年