豊島逸夫の手帖

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金価格680ドル突破の背景

2007年7月23日

いつのまにやらNY金価格は680ドルを突破。今回の上昇はオーソドックスに"市況の法則"に従っている。

―ドル安(円以外の主要通貨に対してドルが全面安。)
―原油高
―ドル長期金利5%割れ(一時5%突破の急騰が金利上昇観測を刺激して金が売られたが、その観測が後退するや金市場では買い安心感が広がった。)
―米国債券市場の信用不安(サブプライム投資のヘッジファンドの運用不安がきっかけとなり、安全性を求める質への逃避マネーが米国債に加え金市場へも流入。)
―金ETF残高の増加トレンド再開(600トンの大台を突破し616トンへ。これは長期投資家の活動再開を意味する数字だ。)
―中国経済成長(GDP11.9%、インフレ懸念も。)
―原油高に加えドル安に起因するインフレ懸念浮上

以上の背景で上昇中の金価格だが、欧米では夏季休暇入りを控え、これから薄商いのなか値だけ飛ばす現象が生じがちな季節に入る。今年はとくにサブプライム問題が現在進行形で展開中だ。NY先物買い残高もかなり売り手仕舞いされた後だけに、前回の680ドル時よりかなり少ない。つまり新規買いが、なお入りやすい地合いではある。

ただし、現物の買いが大量の入る季節ではないのでペーパーゴールドの売買が主体となる相場だ。つまり、ボラティリティー(価格変動性)は大きい。一般の個人投資家諸氏には、おとなしく"相場休暇"をとるよう薦める。

2007年