豊島逸夫の手帖

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770ドル接近

2007年10月19日

原油89ドル。
ドル安はついに円にまで波及。全面安の様相。
バンクオブアメリカ32%減益で信用収縮懸念再燃。
バーナンキもポールセンもサブプライム悪化に懸念表明。
ベージュブックも住宅問題の火の粉が他の経済分野に波及を懸念。
トルコ、イラク国境では新たな地政学的リスク勃発。
債券市場では米国債が再び質への逃避買いを集める。

昨日の欧米市場のムードは、あの8月半ばの"真夏の夜の悪夢"を彷彿させるものであった。やっぱり"第二幕"か...。

市場には今月末のFOMCで0.25%利下げ説が再び勢いをつけている。市場の"不安係数"は一挙に高まり、金価格は770ドルに迫ってきた。昨日の本欄のシナリオで懸念した方の展開を選択しつつある。

筆者は正直、心配である。リアルゴールド(本当の金)はリサイクル還流で売られる中、ペーパーゴールドの買いは過熱する一方というのが今の金市場の実態だからだ。金価格の需給均衡価格を超えた水準で更に急騰を続けるという現象はバブルとしかいいようがない。まぁ、これも過剰流動性のなせる業と言ってしまえばみもふたもないが...。

それにしても、原油90ドルの最中に0.25%の追加的"利下げ"とすれば、危機回避のためにインフレ予防は二の次と解釈されてもしかたがない。金価格770ドル接近というのも、そこまで織り込んでの価格形成だと思う。根拠なしの投機買いでは片付けられないことも確か。

さて、筆者の注目はフランス公的年金基金が20億ユーロを商品分野で運用との報道。すでに10%は代替投資分野に分散運用。パッシブに徹し、2社に3年契約で運用を委託したとのこと。

金ETFなどは、ただ金買ってひたすら保管し続けるだけのウルトラパッシッブ投信みたいなものだから、可能性あるかも。

2007年