豊島逸夫の手帖

Page295

650ドル台へ続落

2007年5月18日

欧州出張から昨晩帰国。ロンドンから更新しようと思ったが、ホテルのインタネット使用料1時間4000円とあるのを見て、めげた。地下鉄もコーヒー代も1000円、タクシー5分程度乗って3000円、同僚の通勤定期月額70000円、医者診療代一回30000円だそうな。とくに通貨安国からの旅行者の悲哀を実感。あらためて通貨安国に住む日本人は高い原油を買っているのだとも実感。輸入インフレという言葉の意味も実感。

さて、足元の相場は657ドルまで続落。ドル高(対ユーロ、対円とも)に反応した金安。珍しく"市況の法則"どおりの展開である。

金ETFも583トンまで減少。今月に入り600トンの大台から段階的に減ってきた。5月決算のヘッジファンドによる益出し売りが続いているようだ。

Sell in May and go away. これも"市況の法則"どおりの展開か。しかし、需給ファンダメンタルズは堅調が確認されている。一昨日ロンドンにて発表された需給四季報の主な数字は以下の通り。

四半期ごとの宝飾需要の推移(トン)

 

2006 Q1

Q2

Q3

Q4

2007 Q1

インド

99.4

127.3

127.8

167.0

147.0

中国

71.8

62.5

67.3

73.5

89.1

中東

71.7

75.8

77.1

71.7

77.4


昨年同期には価格急騰でなえた実需が、明らかに高値慣れしてきている。とくに中国が旧正月、亥年の金運効果で好調。インドも1月、3月に記録的な金輸入量を示した。相場が荒れた2月には静かであった事実も考え合わせると、価格変動が落ち着くと実需が動き出すということがうかがえる。

供給サイドも見てみよう。

 

2006 Q1

Q2

Q3

Q4

2007 Q1

新産金

573

597

644

656

580

ヘッジ

-143

-139

-59

-32

-90

公的売却

93

117

61

52

95

スクラップ

303

329

235

242

251


鉱山生産は伸び悩み。ヘッジ買戻しが、昨年末時点では鎮静化が予想されたにもかかわらず再燃。公的売却はスペインの売りで増加。スクラップは先高感強いなかで、それほど増えず。

総じて高値圏でも供給の増加は鈍く、需要は650ドルまで買い上がっている事実が検証された。ゆえに650ドル台には値ごろ感あり。

2007年