豊島逸夫の手帖

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原油88ドル、金780ドル、円111円

2007年12月3日

原油、金、ユーロには、ちょっとはしゃぎすぎたか、との反省機運。NY株には、サブプライム関連金融株売りを煽りすぎたか、との反省機運。原油、金は明らかに短期上昇モメンタム(勢い)が萎えてきた。ただし、長期上昇トレンドには全く変わりなし。対してNY株は4日連騰。でもこれが本物かと聞かれれば未だ大勢は懐疑的。

円も"ドル暴落、超円高時代到来"などと煽りすぎたか、との反省機運。そもそも、ドルなら4.5%、円なら0.5%の絶対的金利差。あなたなら、どちらを選ぶ?本当に(段階的ドル安ではない)ドル暴落を信じるならば、ドルを売ることにより4%の金利差を遥かに上回る為替差益が得られる。でも、いましきりに噂されている中国や中東のドル売りにしたって、ドルを一挙に放出し、結果ドルが暴落して一番損するのは巨額ドル保有者の彼ら自身なのだよ。案の定、ドル円は107円まで行って、市場の8割が105円以上の円高を予想したところで円安に反転。ただし、これで円安基調が復活というような状況でもない。所詮、ドル円は弱さ比べゆえ、レンジがタイト(狭い)なのだ。あまり暴落だ暴騰だと大騒ぎする必要はない。

原油は精油施設炎上で一時的に反騰しても、地合いがお片づけモードだから 直ぐに反落。米景気後退論が幅を効かせつつあるなかで、需要サイドの減退が懸念される。今週水曜日にアブダビで開催されるOPEC臨時総会で前回のOPECサミットから持ち越された増産問題が再討議され、イラン、ベネズエラの強硬派とサウジの穏健派の対立に注目。

今週のもうひとつの注目指標は、毎度お騒がせ金曜日の米雇用統計。これは毎月のブレが大きいから、年初からのトレンドで見るべし。月々のバラツキはあるが、傾向的には明らかに減少している。

さて、金は足元、戻り売り基調が続く。金ETFも741トンから733トンまで減少した。こちらも、お片づけモード。780ドル程度ではまだ下げ足らず、750ドルまでは見ておく必要あり。

調整モードでじり安が続き、NY先物買い残高も減少したところで、12月11日FOMCを迎え、仮に50bp(=0.5%)の利下げが実行されるとすれば、そこが反転のきっかけになりうる。逆に、万が一にも利下げ見送りともなれば、さらなる急落も。それほどに12月11日は、今後の金価格動向を占う上で重要な日となろう。筆者も、その前には2008年価格見通しなどは論じたくない、というのが本音。

明後日5日は福岡で西日本新聞主催セミナー。問い合わせは
ゴールドショップ三菱 福岡店 092-272-3214(営業時間:平日 10:00~17:30)

2007年