豊島逸夫の手帖

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決算期、ある人、ない人

2007年5月11日

Sell in May and go awayを地で行くように、短期ポジションの売り手仕舞いが相次いでいる。当面の目標700ドルが近くて遠いのに焦れた感じ。

昨晩のNYでは、外為市場のドル高(=対ユーロ)に反応して金が15ドル急落。660ドル台まで売られた。ただし、ドル高とはいえ、ドルが買われたというより、ユーロ金利据え置きを材料にユーロが売られたというのが実感である。これまでのユーロフィーバーにもさすがに一服感が出てきたということか。ここでもSell in May and go away.

そしてもうひとつ売られたものがNY株。こちらは米小売統計悪化の数字を嫌気した。スタグフレーション(不況下のインフレ)という言葉を"Sワード"という忌み言葉扱いするほどに嫌っている。ここでもSell in May and go away.

金、ユーロ、NY株とこれまでの"勝ち組"が一斉に売りモードに入った昨晩であった。

金に関しては、金ETFの残高が599トンから594トンへ続落したことに注目。5月決算のヘッジファンドによる益出し売りが続いている。昨晩の売りにより調整局面は継続の様相だ。

"過熱感なき上昇"は、下がるときも"過熱感への反動"はない。パニック売りという状況ではないのだ。底は浅く、突っ込んでも650ドルで新規買いが入る地合いだ。リスクマネーの回転は速くなっているし、アジア中東のバーゲンハンターも健在である。ファンドは決算期に売り出資者に利益還元せねばならぬが、バーゲンハンターに決算期はない。

なお、ブレア首相が辞職表明。後継にゴードンブラウン財務相。でも、ブラウンさんは評判がいまいち。その一つの理由が"国の大事な資産を安売りしてしまった張本人"ということ。英国は400トン以上の公的保有金を1オンス300ドル以下で売却してしまったのだが、その実行責任者だったのだ。

2007年