豊島逸夫の手帖

Page335 今回の金急騰の特徴

2007年9月13日

今回の金急騰劇の発端はサブプライムである。

まず、債券市場発の信用リスクが高まり、質への逃避として米国債買いが一巡したところで金に波及した。次いで、危機打開策としての米国利下げ観測、日欧利上げ据え置き。金利のつかない金にとって、これは追い風になった。そして、ドル金利下落は外為市場のドル売りを加速させ、ドルの代替通貨としての金が買われた。

さらに、質への逃避の流れが拡大し、実物資産全体への回帰現象を産み、原油高に拍車をかけ、昨晩は80ドル大台乗せとなった。原油と金が互いに刺激しあいながら連れて値を上げてゆく。マクロ経済全体ではR-word(recession=景気後退)が懸念されているのに、取引所のフロアーとかガソリン価格急騰に悩む庶民の間ではインフレ懸念が台頭している。インフレといえば、日米欧の数十兆円に登る緊急資金供給は世界の過剰流動性を益々増加させる結果となり、そのマグマがいずれ資産インフレとなって顕在化するリスクもある。

さて、当面の問題は、これがいつまで続くのかということ。

昨日、WSJ(ウォールストリートジャーナル紙)が世界の50名のエコノミスト対象の調査結果を公表した。

―信用危機は終息したか
"まだ終わっていない"が12%、"半分終わった"が59%、"まだまだはじまったばかり"が25%

―今後の米金利動向は
コンセンサスが、12月までに0.5%-0.75%の利下げ

―今回の市場混乱を招いた主犯はFRBか
YESが76%、NOが24%

―バーナンキの対応は
"速すぎた"が5%、"遅すぎる"が32%、"まあ良い"が63%

金市場の急騰は、2月の上海発世界同時株安に比し、遥かに根が深いので、持続性がありそうだ。

でも、でも、でも、ほんとに毎回しつこいようだけど、調整必至。調整が遅れれば遅れるほど、後の谷は深い。

なお、昨日本欄で主要金ETF現物保管残高676トンに達し、9月4日から44トンの増加と書いた途端、その一時間後684トンに増えた。ゆえに52トンの増加となる。

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