豊島逸夫の手帖

Page333 雇用統計ショックで700ドル突破

2007年9月10日

サブプライムに加え、雇用統計の悪化により、米景気減速懸念、FRB利下げ確実視となり、株、ドル、金利急落、金急騰。

質への逃避、ドル代替通貨、そしてインフレヘッジとして金が買われる。金買い理由"御三家の揃い踏み"(注)というか、複合要因の相乗効果が相場の推進力になっている。しかも、利息を生まない金の天敵といえる金利上昇懸念は後退した。これは相場の持続性を示唆する。

相場上昇ピッチがいかにも急であるが、前回更新時より筆者が強気になったのは、金ETFの急増が加速しているから。主要金ETF残高の日別推移を見ると、次のようになっている。
632t(9月4日)→ 645t(+9.5t)→659t(+9.6t)→666t(+9.7t)

これまでは700ドルに接近すれば金ETF残高は減少する、つまり売りが勝るというのがおきまりのパターンであった。それが今回は逆に急増。年金などの長期保有買いがベースになるから、今の相場を単に投機と決めつけることはできない。対して、アジア、中東の実需は当然模様眺め。NY先物、NY金ETF主導の展開である。

本欄9月3日の最後に"年末までには700ドルへの挑戦"と書いたことが、今となれば、なんとも悠長な表現に響く。"年末までに昨年高値730ドル突破の可能性高まる"と訂正しておく。ただし、まだ2-3回の乱高下は覚悟すべし。実質的に未知の海域をゴールド丸が進むわけだから。これからヘッジファンドも再参入してこよう。今回の急騰の内訳を分析しても、ショートカバー(空売りの買い戻し)が相当量見受けられる。

なお、国内では円高により円建て金価格の上昇スピードが抑制される展開だ。

(注)"御三家の揃い踏み"
21世紀に入り、地球上どこを掘ってもそう簡単には出てこない希少資源を巡って、新たな買い手が群がっている。中国、インドのアジアマネー、中東、ロシアのオイルマネー、そして欧米の年金マネー。これを筆者は金市場買いの御三家と呼んでいる。この構図は一過性ではなく、構造的な現象である。

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