豊島逸夫の手帖

Page328 東証 GLD上場へ

2007年8月27日

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今朝の日経朝刊一面トップ記事で出た。NY証券取引所に上場され、上図でも明らかなとおり、金ETF市場で圧倒的シェアを占めるステートストリート社の商品(黄色の部分でティッカーはGLD)の相互上場(cross-listing)になる見込み。

そもそも本商品は、WGCのNY子会社ワールドゴールド トラストサービス社(WGTS)が商品開発し、SEC(米国証券取引委員会)の認可を受けた経緯がある。ETF契約上はWGTSがスポンサーという立場である。ETFのスポンサーというのは、資金を出すという意味ではなく、商品の骨子を固めインフラを作る(GLDでは、カストディアン=HSBC、トラスティー=バンク オブ ニューヨーク、マーケティング エージェント=ステート ストリートを任命する)という役割である。その背景には、WGCの現CEOジェームス バートンが米国最大の年金基金カルパースのCEOを9年間勤めたときの経験で、運用対象としての金に注目し、年金基金(buy-side)のポートフォリオに馴染む金投資商品開発を手がけたことがある。

金現物に信託権を設定し、その受益証券を上場する。しかも、その証券には100%現物の裏づけがある。実物資産としての金の独立した価値を享受しつつ、金融市場の流動性を兼ね備えるという意味で、まさに金融と商品の垣根を越えた商品である。

年金基金が現物の裏づけを持つ本来の金ETFにこだわる理由は、長期保有してインフレヘッジあるいは地政学的リスクヘッジという、長期的リスクマネジメントを図る運用多様化を目指しているからだ。たとえば裏づけが債券では、ただでさえサブプライム問題で債券市場の信用不安が懸念されており、長期的な価値保全は覚束ない。

海外では上場以来600トン(中国の2年分の金需要に匹敵)を吸収して、金価格高騰の主役となったといっても過言ではない商品だ。とくに機関投資家からの注目が集まっており、今後の展開を見守りたい。

なお、既存商品との競合を危惧する業界内の声もあるが、金ETFを顧客に販売しディーラーは、既存の金市場で買いの手当てをせねばならぬ。その分、相乗効果で市場は拡大するので、杞憂といわねばならぬ。東京時間で金ETFを販売すれば、その分、東京工業品取引所あるいは米国市場の時間外取引に買いを入れるということだ。

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