豊島逸夫の手帖

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NYダウ13000突破の影響

2007年4月26日

昨晩(4月25日)のNYマーケットの話題はダウ最高値更新に尽きる。市場全体をアップビートの雰囲気が支配している。一時は縮小とされたリスクマネーもすっかり息を吹き返している。Global liquidity story=世界的過剰流動性(カネあまり)ストーリーがまたぞろ語られている。

そして、株が良くなると、投資家心理にも余裕ができる。金との関係に、その一端が見られる。株が悪いと金とか商品とか新しいものに目を向ける心理的余裕もない。理屈からいえば、株が悪いときにこそヘッジとしての金を考えるはずだが、実際の投資家心理は理屈では割り切れない。

逆に、今のように株が良くなると、余裕もできる。今朝もNY生中継のCNBC"closing bell"をずっと見ていたのだが、しきりに次は日本だとか商品だとかエマージングだといった話題が出てくる。米国中心主義の米国人には珍しく目が外に向いている。ヘッジとしての金なども積極的に取り上げられている。

皮肉だったのは、そのあと、テレビ東京の市況番組見ていたら、NY株が上がっても兜町が上がらないとこぼしていたこと。でも、筆者の皮膚感覚では、これから米国の草の根投資家がジャパンに目を向ける時期が来るな。ゴールドも同様だ。次は、ジャパンとゴールド。こういう言葉に妙に新鮮味が感じられる欧米市場の雰囲気である。共通項は、これまで見離されていたものに新たな価値を見出すという点か。

ヘッジとしての金についても、株価が最高値更新とはいえ、この好調がいつまで続くかという不安も頭の隅から離れないゆえに、ヘッジの必要性が真に理解できるというもの。実際、株の儲けの一部で金を買うというケースは世界的に店頭で見られる現象である。

筆者が金の基礎講座で必ず話すこと。株や債券が主役であり、ヘッジとしての金はあくまで脇役。その脇役の出番がないことが実は最もハッピーな状況なのだが、昨今の世界情勢はそれを許さない。

2007年