豊島逸夫の手帖

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初心者向け 金価格が上がっている7つの理由

2007年12月7日

最近、本欄を読み始めた方々のために、今、金価格が上がっている7つの理由について説明します。

1.原油高とインフレ懸念
70年代に2度のオイルショック後のインフレで、金価格は4倍に急騰した歴史があります。そこで金はインフレに強い資産と言われるようになりました。今回も原油などの天然資源高騰が進行する中で、金が買われているのです。さらに、オイルマネーが分散投資の一環として金を購入する動きも見られます。

2.サブプライム問題
米国の低所得者向け住宅ローンの焦げ付き問題が世界的な信用不安を招いた結果、そのモノ自体に価値のある実物資産に一部シフトする動きが金への資金流入となって表れています。日本でも金購入理由調査で第1位(50.7%)が"金は紙くずにならない実物資産"という理由になっています。おいしそうな儲け話は警戒し、まずは資産の目減りを防ぐという今の投資家心理がはっきり表れていると言えましょう。ちなみに"価格上昇期待"という理由は第5位に留まっています。リターン(儲け)よりリスクヘッジ(資産保全)という流れが今回の金買いの最大の特徴なのです。

3.ドルからユーロ、そして金へのマネーの流れ
米国経済は一見羽振りが良いけれど、台所は火の車という人のような実態です。世界の投資家は資産の多くを米ドルで保有してきたのですが、いまや"ドル離れ"現象が顕著となり、その受け皿としてユーロそして金が浮上しているのです。金はドルの代替通貨として特に無国籍ゆえに、欧米の経済圏の傘下に入ることに抵抗を感じる中東、ロシア、中国などで選好される傾向があります。

4.有事の金
中東の火薬庫と言われる地域での政情不安は、トルコのクルド人問題からパキスタンにまで拡がり、地政学的リスクが高まると、そのヘッジとして金が買われます。

5.中国、インド経済の台頭
この両国は歴史的文化的に金選好度が高いことで知られています。とくに、インドは今年、史上最高の金需要を記録しそうな勢い。中国では四大商業銀行中心に民間の金解禁が今年始まった段階です。

6.中央銀行の金購入
90年代にはドル黄金期の中で欧州中央銀行の金売却が金価格を押し下げました。ところが、2001年9月11日の米同時多発テロを境に、ドル不安が強まる中、対外準備資産として金を逆に購入する動きが出てきています。とくに、膨大な外貨準備を保有するに至ったアジア中東諸国の、外貨準備の中での金のシェアーがわずか1%程度なのです。(欧米諸国は40%前後、金を保有しています。)

7.年金基金の参入
金現物を購入し、有価証券を発行して上場する形式の新商品、金ETFが開発され、欧米の年金基金が長期保有を前提に金への分散運用を開始しました。すでに、その購入総量は800トン近くに達し、中国の年間金需要の3年分近い金の現物が長期保有され大手銀行金庫に保管されています

以上の7つに理由はいずれも一過性ではなく、構造的な要因ばかりです。それが 日替わりメニューのように日々の金価格に影響を与えているので持続性のある長期上昇トレンドになっているのです。

ただし、ヘッジファンドの投機的先物売買が3ヶ月サイクル程度で繰り返されるので価格の短期的乱高下には注意が必要です。

日々の値動きに一喜一憂せず、大きな流れを見るようにしましょう。

2007年