豊島逸夫の手帖

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潮流に変化の兆し

2007年1月31日

マーケットの環境が若干変わってきた。原油は反騰。円安けん制発言も、EUサイドからちらほら出始めた。(そりゃ、EU域内産業にしてみれば、このユーロ高はたまらんよね。日本人旅行者の立場でも欧州旅行は思わぬ高いものにつくのだから。)

メディアに"円暴落"などという見出しが躍り始めると、そろそろ一相場終わりかなと感じる。欧米の外為市場でも今や主役は"円"。現地の新聞記事にも円キャリーについて特集記事が組まれるほど。でも、それほどに素人衆にも浸透してきた手法を使って、何時までもプロが儲けられるものかね・・・。

もう一つの注目点が、ドル長期金利再上昇。昨年5%を超えた後、4.4%まで急落したが、ここにきて4.8%まで戻している。再び5%台を窺う気配だ。この解釈は諸々あるが、要は、投資家の長期経済見通し楽観論が薄れてきたのだろう。長期金利は投資家のインフレ期待度を示すインディケーターだから。

そのなか、金価格は640ドル台で一進一退。でも下がらない。年初600ドルすれすれから、ここまで金価格は逆風の中で上がってきた。原油安。ドル高。株高...。ということは金独自の要因による上昇とも読める。例えば、南ア大手鉱山会社が30トンほどのヘッジ買戻しを発表したことなどが考えられる。M&Aにともなうヘッジポジションの整理である。

さて、今週は、これからFOMC、米雇用統計など目白押しだが、筆者はその度に一喜一憂して振り回されることのないように自戒している。週末まで相場から完全に離れてスキー場で過ごし、ほとぼりが冷めた来週に現場に戻るくらいのほうが大局観を保てると思うのだ。その大局観のキーポイントは、やはり円安がどこまで続くかだね。本屋の新刊書コーナーに"ドル円200円時代"などというタイトルが並んだときが転換点だろう。

2007年