豊島逸夫の手帖

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上海発連鎖安のデジャビュ

2007年4月20日

2007年の第一ラウンドでは、金価格が瞬間タッチで690ドルまで急騰したところで上海発世界連鎖株安が発生し、ヘッジファンドの益出し売りで金価格も630ドル台まで急落した。

そして、今回の第二ラウンド。これまた690ドルまでつけたところで、上海はじめアジア株が全面安。きっかけは中国GDP発表。1-3月11.1%。これが景気過熱感=金融引き締めの連想を産んだ。NY金価格は8ドル安。といっても681ドル。下がってもこの程度かという感じ。

今回はNY株が引っ張られず史上最高値更新という展開。金市場も冷静である。下げは健全な調整といっていい。

2007年の第二ラウンドは、ほぼ10ドル刻みで調整を挟みながら徐々にレンジの下値を切り上げている展開である。まともな相場つきだ。

国内は円高に振れたので、海外金安、円高のダブルで下がる。上がる時は海外金高、円安のダブルで上がる。これ今年の特徴。ドル円が円キャリーという円独自要因で動き、ドルユーロとは異なる"わが道"を行くゆえの現象だ。欧米の金市場はドル高、ドル安のベンチマークをドルユーロに見る。

市場内統計を見れば、ETF残高は613トンまで急増。NY先物金買い残は351トン。第一ラウンドで690ドルつけた時点では404トンだったから、まだ若干の買い余地を残す。昨晩の売りで買い残は減っているかも。

ただし、700ドルというのは心理的節目でもあるので、荒れる海域となることだけはたしか。アジア中東の現物需要がついてくるまではまだ時間がかかる。すんなりとは行かない。

2007年