豊島逸夫の手帖

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OPEC総会終えて

2007年11月19日

週末リヤドで開催されたOPEC総会。47年の歴史の中で3回目という"サミット会議"ゆえ、注目度は高かった。が、結局、焦点の増産は12月のアブダビにおける閣僚会議に持ち越し。

じつは、本会議に先立ち開催された閣僚レベルでの準備会議が手違いで放映される一幕があった。そこで露わになったことが、イランとベネズエラの毎度お騒がせ問題国の主張。とくに、米ドル安の影響を盛り込めと言う。ドル急落こそが原油価格急騰の主要因。ユーロ建て原油価格は昨年平均価格を下回るとの主張だ。

それに対し、サウジが、そのような主張を盛り込めば、ドル安の火に油を注ぐ結果になりかねないと強く反対。そしてベネズエラは、米議会が"OPECによる価格操作"を非難決議する動きを牽制すべしと要求。さらに米国がイランやベネズエラに武力行使すれば原油価格は200ドルと発言し、これまたサウジにたしなめられた。

長期的視野に立てば、OPEC生産量は2006年の日量3580万バレル(全世界の42%)から2010年4060万バレル(44%)、2015年4600万バレル(46%)、2030年6060万バレル(52%)に急増する見込みだ。ますますOPEC依存度は高まる傾向。中東の火薬庫が国際的政争に利用される状況は収まりそうにない。

次に、ドル安の中で、米国への資金流入の潮目の変化の話。外国人投資家による米国長期債購入の月別変化の推移が興味深い。6月までは1000億ドル前後の純流入だったが、サブプライムショックの8月には706億ドルの純流出に急転。9月には264億ドルの純流入に回復したものの、サブプライム第二幕となった10月には再び純流出になったのではないかと言われる。

ドル先安感の台頭で、外国人投資家が赤字国米国から資金を引き上げるシナリオこそ米国のアキレス腱である。米大統領選挙を控え、国内産業保護の名目でドル安容認論調も根強いが、それにも限度があることをこの統計は如実に示している。実質ゼロ金利に近い日本との絶対的金利差が厳として存在する状況も変わらない。

円とドルは"弱さを競う"と言われる。円は800兆円の未曾有の財政赤字。米国も未曾有の経常赤字。赤字を競う点ではいい勝負である。グローバルなドル安の進行の中で、ドル円だけは急激な円高になりにくい構造があるのだ。

最後に昨日の六本木ヒルズでのWGC単独主催セミナー。参加者400名近い盛況。池崎美盤(みわ)キャスターの参加で、いつになく女性やご夫婦の参加者が多く、笑いの絶えない、なごやかなセッションでした。49階からの素晴らしい眺めも印象的でした。多くの方から、この毎朝のコメント書きが良く続きますねと言われました。夜は9時前に寝て、"朝"2時おきでNYと本業の仕事している筆者が、その間に耳にしたフロアの生の情報をつれづれに書き綴っているのですが、これは原稿料抜きの筆者の趣味みたいなものです。そうでなければ、続きません。それに金市場は株、債券、外為の各市場の動きを見ないと読めませんから、それが結果、読者には金に限らずマーケット全体の流れを読む指針となっているのでしょう。

今週は22日木曜日が米国感謝祭祝日で、実質3日間だけ。商い薄く、筆者としては、日本時間に合わせたまともな生活が送れそうです。ホッ!!

2007年