2007年12月17日
先週後半発表の一連の米国物価指標統計をきっかけに、為替の動きが変わった。まず、CPI(消費者物価上昇率)。前月比で事前予想0.6%増を上回り0.8%増。前年同月比では4.3%、コア指数でも2.3%。次に、PPI(生産者物価指数)。予想1.5%増に対し、3.2%増。そしてIP(輸入物価指数)。予想2.0%増のところ、2.7%増。
こうなるとFRBも利下げしづらくなるとの観測から、金利要因でドルが買われ、円もユーロも下落。ドル円113円台、ドルユーロ1.44台。シカゴのDXY(総合ドル指数)も11月22日の最安値74.50から77.29まで反騰。
為替の筆者の見方は変らず。107円台の時(11月26日)にも書いたように、専門家の予測が100-105円で一致したときが円高のピーク。金利差要因という円売り材料は無視できず。108-123円のレンジに分あり。
金市場は、金利上昇観測、ドル高で再び793ドルまで急落。市況の法則どおりの展開。ただし、クリスマス休暇前で市場参加者は極めて少ない。(本欄も今週から正月まで更新の間隔が空きますよ。)
今後のドルの行方だが、ドル不安とドル安は異なる。皆が、ドル発行元米国の経済に長期的な不安を感じていても、短期的投資家行動は別物。(下がっても)4.25%の金利の通貨と、0.5%の実質ゼロ金利状態の金利の通貨のどちらを選ぶかと言われれば、皆さんなら、とりあえず、どっちを選ぶ?
その理由で、ドル円に大きな変動は出にくいが、ベンチマークのドルユーロは別。ここは金利差縮小顕著(どころか今やほぼ同金利水準)であり、ドル不安が即、ドル売りに繋がる。1.44へユーロが反落しても、長期的ユーロ高、ドル安トレンドが変ったとは思わない。そうなると、クロスレートのユーロ円は下がりにくいね。
なお、今日の日経朝刊一面記事"揺らぐドル、色あせた基軸通貨"は例のスーパーモデルの話にも触れて、ドル離れを論じている。同7面には米金融保証会社の問題浮上を報じている。本欄ではbond insurer, monoline(モノラインと呼ばれる債券保険業者)として再三指摘してきた話題だが、さすがに日経流に事実関係を丁寧にまとめている。
さて、今日の注目は、欧米中銀協調資金供給の第一弾、FRB第一回債券入札(200億ドル)の結果。ただ、中銀とは辛いもので、協調だ、支援だ、と強調すればするほどマーケットの疑心暗鬼は深まるばかり。"それほどまでに団結しないとヤバイわけ?"とくる。