2007年10月4日
本欄でのバブル論議について下記のような質問が寄せられた。
(本欄10月1日)
金価格長期上昇トレンドを形成する様々な構造要因は、当時とは全く異なり、需要基盤は遥かに拡大の一歩をたどり、希少資源としての供給は高値圏にもかかわらず殆ど増えない。これは需給ファンダメンタルズに裏打ちされているという意味で断じてバブルではない。
(本欄10月2日)
筆者が述べてきた"現水準は需給ファンダメンタルズの裏づけのないという意味でバブル"との見立てが数字で検証されたと思う。
(上記に対する質問)
1日は"バブルではない"、2日は"バブルである"、この違いがわからない。
結論から言えば、短期ではバブル、長期では非バブルということ。足元で、730とか740ドルの水準では、アジア中東中心の現物市場では買いがほとんど見られず。対して、NYの先物市場では買い残が過去最高の水準へ急増。投機マネーが金価格を、需給均衡点を越える水準にまで押し上げたという意味でバブルと解する。しかし長期的に見れば、いずれ実需筋も700ドルという水準に"高値慣れ"してくる。
振り返ってみれば、3年前に600ドルなどという金価格は"高嶺の花"であったが、いまやインドで、600ドル以上が続いた4-6月期に過去最高の需要量を記録するほどである。従って、一年後にインドが700ドル以上で高需要量を記録しても全く不思議ではない。こうなれば、700ドル以上が需給均衡点となり、バブルとは言えなくなる。その時点では おそらく筆者は800ドルをバブルと唱えていることであろう。
なお、需給均衡点に関して補足すれば、通常の経済学では、価格が上がれば生産供給が増えるのだが、稀少資源の金に関しては、新産金量はほとんど増えない状況だ。ただし、リサイクルという供給要因もあり、これが700ドルを越えるとアジア中東全体で加速すると思われる。これは価格上昇にブレーキをかける効果を持つ。ヘッジファンドの短期的売買による乱高下も予想され、上がるといっても紆余曲折はあろう。
さて、昨晩のNYは5ドル下げ、本稿執筆時点(10月4日朝7時)でスポット727ドル。チャート上では726ドルが抵抗線だが、筆者の感覚では未だ下げ足りない。
外為市場ではドル反騰。結局はEUでも米国でも日本でも自国通貨が上がると困る人(或いは産業)が多いのだ。最後は中銀による市場介入をちらつかせてマーケットを牽制することが常套手段となる。
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