豊島逸夫の手帖

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円高、ユーロ高、金原油高、株安、ドル安、金利安

2007年11月8日

昨日の金価格は、日本時間から欧州オープニングにかけ846ドルまで急騰。その間は売り手不在の薄商いの中で値だけ飛ばす状況。NY時間になると息切れして826ドルまで反落。真空地帯でコツンと頭売った気配を感じる。根拠もなにもない、筆者の唯の勘に過ぎないが。しかし、826ドルを"安い"と感じるのだから、高値慣れしてしまった目というのは怖い。下がったところで口開けて待っている人たちも多い。

色々あった、この24時間だった。

―中国の人民会議副議長氏"我々は弱い通貨より強い通貨を好む"と発言。すわ、ドル離れ、ユーロ買いかと連想を生み、ドル売りフィーバーに油を注いだ感じ。でも、この手の発言は珍しくないけどね。この人、過去にもお騒がせ発言で市場を困惑させている。

―その中国は北京に今月下旬に欧州勢が集結。トリシェECB総裁、サルコジ仏大統領等々、そうそうたるメンバーが"ドル安エネルギーをユーロが一手に引き受けているのは不公平。人民元も相応の切り上げしろ"と圧力かけるようだ。

―そのユーロは1.46まで急騰したが、1.50になれば介入もありとの観測そういう雰囲気のなかで円に火の粉が及び、"相応の切り上げ分"だけ円高。

―NY時間になると、メリル、シティーに次ぎ、モルガンスタンレーが2000億円から4000億円、最悪6000億円の評価損計上し、CEOの責任が問われそうとの噂広まる。

―そしてファニーメイとフレディーマックの2大住宅金融公社(エージェンシー)がNY司法当局から出廷要請を受ける。ワシントンミューチュアル(最大のS&L貯蓄貸付機関)から買い取った住宅ローン債権に、鑑定評価偽装があったとの疑惑。そのワシントンミューチュアルは、ファーストアメリカンという保険会社に実勢より高い鑑定評価を強いたとのこと。同社社長の謝罪会見。"住宅市場のソフトランディングを期待していたが、非常に厳しく痛みを伴う結果になってしまった"。サブプライム問題に遂に司法の手が入ったことが市場にショックを与えた。

―原油市場も欧州時間は、今日中にも100ドル達成かという勢いだったが、在庫統計をきっかけにさすがに一服。

―人口13億の中国の一人当たり年間原油消費量2バレル。米国は25バレル。ウーム、この数字は説得力あるなぁ。

―メタル市場では金続騰に対しプラチナ、銀、銅などは急落。"マネー"としての二面性を持つ金が"質への逃避"資金を集めたということか。

金市場では買い方が売り急がず、余裕しゃくしゃく。リサイクルの売り手も先高感強まる中で、より高値期待の売り控え。トレーディングルームではオプションデスクが青くなっている。全体的に値動きが荒いわりには流動性が薄いので、意外に静か。ディーラーもあっけにとられている感じ。投資家も上げが急ピッチ過ぎてほとんど波に乗れていない。台風の荒波に挑むサーファーみたいなものだからね。遊泳禁止のときは、おとなしくしていること。

なお、本日5時から日経CNBCに生出演して、今の相場動向を時間の許す限り語ります。(再放送8時10分くらいから)

2007年