豊島逸夫の手帖

Page395 FRBに振り回されるマーケット

2007年12月13日

金価格は、FRBの0.25%利下げ失望売りで812ドルから796ドルまで急落後、一転急騰。終わってみれば814ドルまで反騰となった。筆者と同じく当面の調整売り局面を見込んだ投機筋が、空売りに走った途端に相場は反発し、慌ててショートカバー、ストップロス買いがかかった格好。

外為市場ではドル円はドル高円安(112円)、ベンチマークのドルユーロはドル安ユーロ高(1.47)。原油は大きく反騰して94ドルへ。金には弱気のゴールドマンサックスが、原油は2008年95ドル予測との報。

NY株は、ジェットコースターに慣れっこのはずのフロアートレーダーも目を回すほどの日中の乱高下。一般紙でも一面トップで報道されている欧米中銀協調資金供給を好感し、ダウ300ドル近い急騰後、400ドル近く急落、最後は再び戻して終わってみれば40ドル高。

シカゴの債券先物市場も、"国際協調やるなら、なんで昨日のFOMC時に発表してくれなかったの"と愚痴る、愚痴る。筆者も愚痴る(笑)。

とにかくFRBに振り回され続け。欧米国際協調でサブプライム退治に団結するアナウンスメント効果は評価できるが、その発表の仕方、タイミングがマーケットを当惑させる結果に。ちなみに、この国際協調案はFOMCでも討議されていたそうだ。でも、FOMC後に発表しなかったのは、欧州市場もオープンしているときに発表すべきとのFRBの判断だったそうだ。この国際協調の効果測定は、早速来週月曜17日に行われる200億ドルの債券入札の結果を待とう。

いずれにせよ、ポールセン財務長官自身もサブプライム解決に、silver bullet(妙案)は無いと認めている。当面、あの手この手でほころびを繕ってゆくしかない。そういう間にも、昨晩はシティーグループ株が7%の急落。この銘柄一つの売買高で、昨日のNY証取一日の出来高の10%を占めたそうだ。

さて、筆者の注目は、そのポールセンが北京に乗り込んでの米中戦略会議。またしても中国側は段階的人民元切り上げを譲らなかった。同日発表された米国10月貿易赤字は、578億ドルで前月比1.2%増。特に対中国が9.1%増と過去最大!

更に、11月の米国輸入物価指数が2.7%増と17年ぶりの上昇幅。むろん原油高の影響だが、ドル安の副作用として危惧されてきた"輸入インフレ"が現実化しつつある兆し。

筆者は この二つのニュースのほうに国際協調介入より強いインパクトを感じる。今回の新措置の目玉が、為替スワップ。ドル資金を市中から調達できない欧州民間銀行のために、欧州中銀がFRBからドル資金を調達して助けてあげようとの仕組みだが、そのドルが貿易赤字、輸入インフレで減価する一方ではねぇ...。

中国の物価上昇率も6.9%へ上昇。対中貿易赤字拡大。米国輸入インフレ。2008年、金新高値更新に向けての筆者の確信は強まるばかり。

ただ、ただ、足元の短期的価格変動だけは、プロの読みの、またそのウラを読む仕掛けで、狐と狸の騙しあい。筆者のNYの友人たちは、もうクリスマス休暇気分。今年度の成績の悪いディーラーだけが、最後のあがきで売買を仕掛けているのが実態。クリスマスまで残り10日間。下は780ドル、上は840ドル、何でもあり、としか言いようがない。

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