2007年4月12日
現行価格水準は680ドル近くまで再上昇。上海発連鎖株安直前の水準に戻った。ただし、今回の上げは急騰ではなく、10ドル刻みに水準を切り上げる展開である。足元を確認しながら登ってきたので底堅い印象を受ける。ドル円は円安に振れて、円キャリー復活などといわれる状況も連鎖株安前と同じ。円安、海外金高の同時進行パターンである。さしたる材料はない。
原油は軟調。ドルは対円でこそドル高だが対ユーロではドル安場面も目立つ。(それゆえクロスレートのユーロ円は160円台突破。)あえて材料を探すとすればイランに関する地政学的リスクか。それとて決定打というようなインパクトではない。
FRBのスタンスも毎週のようにマーケットの読みが猫の目のように変わる状況が続いている。マクロ経済指標の出方次第で利下げ観測が台頭、後退を繰り返す。決定的な方向感でないことだけが確か。
このように説明できない相場のほうが崩れにくい。材料織り込み済みという陳腐感が出にくいから。そもそも全ての相場を説明できる魔法の杖など無い。
金ETF残高は606トンと、ついに600トン突破(本欄で採用している統計による数字ベース)。長期的に一貫した右肩上がりトレンド継続である。これまで金に全く興味を示さなかった米個人富裕層の参入が目立つ。その意味で米国金市場の裾野が拡大している。
なおアジア中東の現物需要は未だ680ドルを受け入れる状況にはない。その意味で現水準は未だ需給ファンダメンタルズの裏づけはない。時間かけて揉む必要がある。