豊島逸夫の手帖

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下げの要因

2006年1月6日

昨晩のNYは一転して525ドルまで急落。約10ドル幅の下げ。新年早々、連日の乱高下。まだまだ"夢のある"暗中模索は続く。

昨日CNBCにナマ出演したとき、スタジオで本番前に、加藤キャスターに、ふと"下げ要因あるとすれば、何でしょうね?"と聞かれてから、頭の中で想像力をめぐらしつつサプライズ材料を探してみた。

―バーナンキが3月のFOMC初お目見えから利上げを継続し、5%以上に引き上げを断行するシナリオ。しかし、足元では利上げ打ち止め観測のほうが優勢。

―原油高が消費者物価上昇全体に波及せずCPIが年率2-3%台へ沈静化するシナリオ。インフレ懸念は収まるが、利上げの大義名分(インフレ抑制)も消えるから、金価格への影響は総じて中立的となる。

―中国経済の成長率が大本営発表目標値8%台を割り込み7%或いはそれ以下に減速するシナリオ。金融当局の締め過ぎとか、本格的人民元切り上げなどがきっかけとして考えられるが、これは効くだろうね。

―イラク戦争関連はもはや地政学的要因としては陳腐化したが、もし影響あるとすれば、逆に、情勢好転により地政学的リスク後退のケースだろう。これは織り込まれていない。しかし、情勢好転といっても具体的イメージは湧かない。出口戦略といっても、米軍が撤退して残るのは現地のカオスであろう。シャロン危篤の報も折角のガザ撤退=パレスチナ好転の望みに水を指したね。

―意外な国からの公的保有金売却。財政赤字に悩む国がまとまった量を放出するケース。これも具体的国名は思い浮かばないが、高値に釣られるという場合もあろう。これは、サプライズ要因になるだろうね。

―アジア中東からのリサイクルがまとまって出るケース。昨年までは、高値圏でも従来に比し還流量は少なかった。皆がより高値を期待してホールドしたからだ。それが、もし500ドル超を潮時と見れば、どっと売りに出る可能性はある。これはボディーブローのようにジーンと効くだろう。

以上、まとめてみたが、書きつつ自ら改めて感じたことは、上げの材料に比し説得力がイマイチ足りない要因ばかりだということ。

さて、金ETFが更に増えている。
12月19日 307.90トン
1月 3日 337.14トン
そして昨日、
1月 5日 360.69トン

これはETFというペーパーだが、100%現物の裏づけがある。保管されている金塊のバーナンバーまでご丁寧に開示されている。筆者の30年の経験でも、現物商品で短期間にしかも高値圏でこれだけ売れた例はない。ヒョッとして大化けするかもしれない。少々興奮している。

2006年