豊島逸夫の手帖

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久し振りの10ドル超の急騰

2006年11月2日

欧米で618ドルまで上昇した。相場のフットワークが軽くなってきた感じ。

筆者が注目しているのは、北朝鮮6カ国会議開催とか原油価格軟調という逆風のなかで上げていること。完全にcurrency drivenつまりドル安に引っ張られている。その震源は、先週の予期せぬ米第三四半期GDPの落ち込みである。GDPショックといってもいいほど金融市場全般に対して効いた一撃となった。まぁ、ドル円に関してはシカゴで円キャリーの積み上げと思われる巨額の円売りポジションが雪庇(せっぴ)の如く積みあがって、いつ雪崩化しても不思議ではない状況ではあったがね。逆に、その割に大した(円買いドル売りの)雪崩になっていないな、と感じるが。

いずれにせよ、金市場の地合いが好転しつつあることが読み取れる現象だ。NY先物市場の買い残高もかなりひっこんでいるから、ここでも地合いは軽いと言えるね。

毎度のことだが、株高もドル高も一巡すると見るや、投機筋の矛先はめまぐるしく変わる。ヘッジファンドが、コモディティーのなかで原油売り金買いへシフトしているという気配もある。

原油は減産を巡って生産国同士が疑心暗鬼の悪循環にはまり、"囚人のジレンマ"に陥っている。2名の共犯が捕まり取調べ中。お互い連絡がとれれば共謀して言い逃れを図れるのだが、それがままならない。そこで、両者の現実的な次善の選択は、お互いを裏切り自白することとなる。

さて、今日はGFMSセミナー。いまや世界的に最も著名なゴールドアナリストとなった同社CEOポールウオーカー氏が年末700ドル、来年850ドル説について2時間に亘り詳説する。そのあとトークで私がチャチャを入れる予定(あえて金が下がるシナリオを語ろうと思っている)。長年の盟友ゆえお互い遠慮がないから、聴いている方はニヤニヤしながら見物となりそう。

2006年