2006年3月23日
先週から、マーケットが新たな"中東危機"と騒いでいるのが、中東株の暴落現象だ
-湾岸諸国では、企業が従業員の就業時間中のネット株取引を禁止
-一部の社員は退職して株に没頭
-UAEのガス会社IPOに際しては、数万人のサウジ投資家がドバイへ車で殺到。ホテル満杯で公園で一夜明かす
-銀行が急遽用意した株価大型ボードの前に人々が群がる
こんな報道が飛び交う中、当然の帰結とはいえ、中東株バブルははじけた。
過去5年間で9倍に暴騰した後、今年に入り、ドバイは昨年の高値の半値へ暴落。中東全体でも平均25%の急落に見舞われた。
この中東株式市場だが、アラブの人達にしてみれば、他に大した娯楽もないから、格好の公認カジノとなっていたようだ。
マクロ経済の背景を見れば、原油高騰に起因する潤沢な投資マネー、経済自由化の流れ、新規上場ラッシュ、そして、イラン問題の余波で在外資産凍結の噂など、オイルマネーが国内株に向かう素地はできていた。
70年代の原油価格高騰時には、折角の国内投資マネーが還流せず、インフラ整備に結びつかなかったという反省もあったろう。
ここにきて、当局による市場安定化のための介入発言などで鎮静化に向かっているようだが、ゴールドマーケットの関心は、この後、株のスリルという快感と恐怖を知った中東マネーがどう動くかということ。
欧米のように株ヘッジとしての金というようなポートフォリオ分散思考が果たして根付くのか?
同じ金でもスーク(大広場の市場)の金キラネックレスの世界から、ボラ(価格変動性)の高いデリバティブへ発展するのか?
文化的金選好度の高い国々が、金融自由化(或いは欧米化)の波にさらされたとき、投資家の行動パターンがどのように変遷するのか(或いはしないのか)。ケーススタディーとしても興味深い。