豊島逸夫の手帖

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金市場はホリエモンさまさま

2006年1月19日

昨日、本欄原稿執筆後、日本時間で国際金価格が10ドル以上急落した。震源地は東京の金先物市場(TOCOM)。これまで金先物市場には株で潤ったマネーが流入してきた(これを株上昇の資産効果という)が、それが逆流を始めた。投資家のマインドが急速に萎え、リスクの高い金先物に対しても警戒感を高めた結果、売り手仕舞いが集中したのだ(逆資産効果とでも言えようか)。

より切迫したところでは、株の信用取引の一部でライブドアの担保価値が一挙にゼロにされたので(これも乱暴なハナシだけどね)、追加証拠金を払うためにやむを得ず金先物を手仕舞ってキャッシュフローを捻出するという動きも見られた(本欄の読者からも、そうした嘆きが寄せられている)。

その後、NY時間に入っても金価格は回復せず、結局2月限546.50ドルで引けた。NYの一日の変動幅は高値558.30ドル、安値543.10ドル。本稿執筆時点(1月19日朝7時)ではスポット543ドルとなっている。

欧米金市場の話題は、ライブドアより、イラン、ナイジェリア、原油高再燃など。更に、米国消費者物価上昇率が発表された。前月比0.1%と予想外の下落。コアは0.2%上昇。2005年全体では3.4%増となった。これは昨年10-12月に関しては原油高が一服し、インフレ懸念が鎮静化したことを示すデータである。その意味では金売り材料だが、同時に利上げ打ち止め観測という買い材料の根拠にもなり得る数字なのだ。

さて、今回の金急落。非常に健全な下げである。あのまま600ドルまで突っ走ったら逆V字型の短命で終わるところであった。ここで調整が入り、値固めを経ることで、持続性のある上昇相場、徐々に下値を切り上げる展開に戻ることができた。その意味では、ホリエモンさまさまである。それいけドンドンで上に行きたがっていた金相場に対して、タイムリーな売りのきっかけを提供してくれたのだから。530ドル台にでもなれば、アジア中東で相当現物買いが入るよ。

最後に、兜町に提案。非常事態なんだから、小口の注文も大口の注文も同じ扱いにせず、大口優先窓口でも設ければ、全体のダメージも少しは抑えられるのでは?スーパーのキャッシャーで小口優先ラインを設けているのと逆の発想だけどね。数株の売り注文の顧客の列に並ぶ数万株の売り注文顧客のイライラを考えると同情もするね。

2006年