豊島逸夫の手帖

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Doomsday Scenarioには注意

2006年3月24日

昨晩(3月23日)の欧米市場では、まず住宅販売関連の統計が予想外に良かったということで、利上げ継続説が再浮上し、金は546ドルまで売り込まれた。ところが、下がったところで、新たな材料が出て買われるという最近のパターンをまたもや踏襲したカタチで、原油価格が反騰し金の買いを誘った。結果、本稿執筆時点(3月24日朝6時)で、スポット550ドルと相変わらず代わり映えしない水準に戻っている。目下の主役はシルバーといったところ。

筆者は朝5時に起きて、朝食を摂りながら、日経CNBCのNYからの生放送"closing bell"を、ながらでつけっぱなしにしている。今朝は金関連のインタビューが続けて二本流れていたのだが、両者とも超強気。金価格数千ドル説を唱えていたようだが、その論拠の一つが、バーナンキ。彼が、最近の講演で、世界的貯蓄超過が低水準の長期金利の常態化を招いているとしきりに語っていることを捉え、彼は、景気が緩み資産価格の上昇が止まれば、すかさず大幅な利下げを断行して、資産デフレを防止するであろうという見立てだ。なんでもDoom and Gloom(運命の暗雲とでも訳せるか)というちょっとアブナイ名前のニュースレターの発行人だけあって、金の世界にありがちなDoomsday Scenario=この世の終わりに世界を救うのは金だと真面目に唱えるタイプの変形のようであった。とても筆者はついてゆけないが、実際、彼らの刺激的ヘッドラインに引き寄せられる個人投資家も少なくないと聞く。マーケットには様々な情報が流れるから、受ける側も選択が重要という例であろう。

2006年