豊島逸夫の手帖

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重要な金レポート発表

2006年1月20日

ライブドアショック - 日本株安 - 金連れ安のサイクルも、24時間で終わった。昨日朝7時、本欄執筆後540ドルまで下げたのち、東証の立ち直りに比例して金価格も10ドル近く反騰。NYもこの流れに同意を示し、更に10ドルがた買いを上積み、559ドルまで回復。本稿執筆時点(1月20日朝8時)でスポットは557ドル。

欧米市場コメントに最早、東証、ライブドアの文字は無い。この24時間に地政学的リスクを連想させる報道、発言が相次いでいるのだ。
―まず、ビンラディンが米本土再攻撃を予告とのアルジャジーラ報道。
―クリスチャン サイエンス モニター紙の女性記者、イラクで誘拐、72時間以内処刑予告。CNNで、母親が涙の嘆願。
―フランスのシラク大統領が同国核施設訪問し、"何時でも核攻撃の準備あり"と明言。イランこそ名指しはしなかったが。

ヒルズと兜町ばかりを見ている日本の報道だけに包まれていると、金相場は読めないよ。

さて、昨晩、GFMSが重要な最新金レポートを発表したので、その要旨をまとめておく。

―2006年前半の金価格レンジは490-550ドル。平均は521ドル。もう550ドル突破しているので、悲観的に見えるかもしれないが、と前置きしたうえで、500ドル以上の水準が持続している(sustain)こと自体、画期的なこと。ただ、足元で需給バランスは緩んでいる。なお、年後半には再上昇もあり得る。現水準を超える上昇には、想定外のショック(たとえばエネルギー関連など)が必要。

―まず、供給サイドは、新産金量が2005年は1%増だが、2006年前半は5%ほど増えそう。
―中央銀行売却は、2005年40%急増後、2006年は40%ほど急減しそう。これは一部中銀の金購入予測による。
―リサイクル還流金は、2005年は高値にも関わらず1%しか増えなかったが、2006年はドッと出そう。
―ヘッジ売りは、ヘッジはずしの動きがこれまでの半減ペースへ。
―需要サイドは、宝飾需要が2005年全体では5%増加したものの、年後半には7%落ち込んだ。2006年前半には25%近く急減しそう。インドがブレーキである。
―投資需要は、2005年は倍増の600トン。特に、欧米日が寄与。2006年前半は一服感(pause)があるが、上昇は続こう。

以上、本欄の読者の皆さんにはそれほど新鮮味はないかもしれないが、権威あるGFMSのお墨付きがついたということか。

2006年