2006年6月9日
株も金もselling climax(売りのクライマックス)の感あり。
今の金市場はマーケットの内より外=マクロの経済環境を見なければ読めない。 主役はバーナンキさんなのだが、彼の利上げの一言で、それまで世界各地で暴れていた過剰流動性の一団が震え上がり怖気づいた。エマージングからコモディティーから次々に撤退。とりあえず債券そしてドルの軒下で雨宿り。実はこのシナリオがバーナンキさんの本音の狙いなのかも。過剰流動性に米債券市場に戻ってもらわないと双子の赤字の面倒見てくれる人達が他には見当たらないから。
とはいえ過剰流動性の立場に立てば、世界同時利上げモードゆえ、債券の宿に長居もできない。ドルの宿も台所は大赤字だから心もとない。
ここで最も大事なポイントは、過剰流動性が消滅したわけではないことなのだよ。とりあえず息を潜めて成り行きを見守っているだけ。世界的に流動性引き揚げとか言われるけれど、要は投資マネーが首すくめて、一時おとなしくなっただけなのだ。でも、人間は本当に欲深いゆえ、おカネ持った(持たされた)人達はウズウズしている。長期間に亘りジッツとしていられるわけがない。目先は、バーナンキさんの交通整理に黙って従っているけれど、すきあらば何時でもアクションは起こせる態勢は崩さない。
そもそも、これまで株、商品を引っ張ってきた中国、インドなどの世界的経済成長のストーリーがこれで終焉を迎えるはずがないでしょ。一部悪乗りしてはしゃぎすぎた人たちが、酔いも醒めてすごすご帰り支度しているだけ。マーケットのfroth(泡の部分)が取れた段階と言えよう。
今は、株も金もselling climax.
売りのモメンタムも第四コーナー回ってホームストレッチ。バーナンキさんは真面目な人。常に真実のみを語る。けれどもその真実が毎日変わる(笑)。
もう一つの話題がザルカウイ殺害。もう一段の売りの口実を求めていた市場にとっては正に渡りに船。
問題はこれでイラクが平和になり地政学的リスクが本当に後退するか。米大本営発表は誇らしげだが、真面目にそう信じるアメリカ人はまず居ない。その大本営発表にしても、これで邪魔者は排除してあげたのだから、あとはイラクの皆さんの話し合いで平和を実現してくださいね、よろしくお願いしますよ、というトーンである。
冷静に考えれば、ザルカウイはアルカイダというテロ企業のCOO.チーフ オペレーティング オフィサー。つまり現場の総元締めであった。
蛇の頭は切ったが、まだそれぞれに動いている状態だ。(蛇嫌いの人、ゴメン)現在のイラク新内閣の最大の問題=原油輸出収入の部族間配分なども消えたわけではない。
ザルカウイ殺害は手仕舞い売りの格好の口実にはなったが、客観的に見て、これで地政学的リスクが後退したなどとはとても言えない状況なのだ。
金価格の大きな流れを見れば、730ドルなどという、なんとも中途半端な高値で、この大相場が終わるわけもないでしょ。