2006年7月3日
本稿執筆時点(7月3日朝7時)でスポット614ドルまで反騰。短期的上値抵抗線の600ドルをあっさり勢いで抜けた。
FOMCを巡る(利上げの)鞘当てが一段落して、またぞろ投資マネーがむずむずうごめき始めた感じだ。主要国の中央銀行が、金融引き締めを通じて、過剰流動性をバキュームカーのように吸い上げ始めたとはいえ、そう簡単に吸収できるような規模ではない。まぁ、低金利通貨を借りて、金につぎ込むキャリートレードのような手法が下火になった程度か。
日本国内だって、依然1500兆円の個人金融資産マネーが行き先を求めうろうろしている。海外では日銀量的緩和解除=世界的投機マネーの収縮みたいな論調が多いが、なにか頭でっかちのエコノミストの後講釈みたいで実感は薄いな。
なお、金ETF残高が470トンを突破してきた。FOMCを巡り市場が神経質に変動していた時期でも、年金は粛々と買い続けていたのだ。長期投資のお手本みたいなパターンである。残念ながら、一般個人投資家は、相次ぐ利上げ観測報道に晒され、自分達までがディーラーになったような気分になり、"先行き不透明感漂うなか模様眺めに徹した"という市場コメントを地で行く結果となった。
しきりに投資マネーのリスク回避現象とか言われるが、リスク回避には長期的リスク分散しかないという事実を改めて噛み締める機会になろう。
特に日本人投資家は国際水準で見るとひ弱だ。護送船団方式のお上の保護に守られてきたので、いきなり自己責任と言われてオロオロしているのが実態だとセミナーの度に痛感する。人一倍勉強熱心なのだが、実技に弱いね。
今、全米女子オープンゴルフ見ながら本稿を書いているが、圧倒的距離とラフの厳しさに打ち勝つのは最後にパワーと体力だ。藍ちゃんのスイングは実に綺麗なのだが、如何せんお尻の大きさで負けている。
ワールドカップでも、日本流の美しいチームプレーが、国際水準のパワーには勝てない。
その点、投資の世界では、80歳のおばあちゃんだって30歳の男性に勝てる。買ったら忘れる(buy and forget)という長期投資の鉄則においては、高齢者のほうが得意かも(これ筆者の実感 笑 )。マジに、国際的な舞台で日本人でも勝てるというのが、欧米の市場や組織のなかで30年間生き抜いてきた(細身の)筆者の確信である。
なぜなら、投資の世界に必要な逞しさとは、情報過多の時代のなかで、自分なりの考えをどこまで貫けるかというココロのチカラだから。金を買った。ヘッジファンドが売って下がった。メディアにはリスクマネー引き揚げの見出しが溢れる。そこで短期的投機の動きに惑わされず、どこまで大きな潮の流れを見続けられるか。以前にも書いたが、森の中で熊(ベアー=弱気)に遭遇したとき、どこまで死んだふりできるか。そんなの無理だというならば、自由競争のマーケット経済はあきらめ、手厚い政府の保護と規制を求めるしかない。