2006年3月27日
銀の連れ高というカタチで、金も560ドルを回復(本稿執筆時点3月27日朝7時)。鉱山会社のヘッジ買戻しの噂なども流れ、期末要因が入りやすい時期でもある。
さて、今日、明日といよいよバーナンキ初指揮のFOMCである。0.25%利上げは確実。当然相場にも織り込まれている。もし万が一、利上げが見送られるようなケースになれば、それこそビッグサプライズとなり、金は更に買われるであろうが。
実際のマーケットの関心は、更に1-2回の追加利上げありやなしやに尽きる。 とはいえ、これだけ利上げの話題が市場を賑わせたのに金が560ドル台を回復するまで買い上げられたということは、それも織り込まれていると言えようか。
5月に5%まで引き上げられる確率が83%などというコメントもある。(前週の92%から低くなったそうだ。)こういう天気予報の雨の確率風データは根拠がいまいちはっきり分からないが、数字だけが一人歩きしている。
マネーの流れについて見れば、仮に金とか商品を手仕舞っても、他に美味しそうな投資対象もそう簡単には見つからず、次に行くアテもない旅が続いているようだ。
為替だって、結局、双子の赤字は気味悪いが、絶対的金利差も捨てがたいという、投資家の欲と不安が揺れ動くなかで、ドル高、ドル安、いずれにも方向性は決しがたい。
先週末の、米住宅関連経済統計をめぐる市場の動揺も良い例だ。木曜日発表の中古物件の数字は良かったが、金曜日の新規物件は悪かった。それに振り回され、利上げ継続だの、利上げ打ち止めだのと、ころころ"中長期的観測"が変わる。
なお、金に関してだが、ETF残高が440トンから437トンへと僅かだが減少を見せ始めたことが注目される。昨年末以来一本調子で増加を続けてきたあとなので目立つのだ。期末の益出しがまず考えられる背景だろう。潮の流れが商品からやや離れたところで、利益は確定しておきたいという機関投資家の発想は理解できる。彼らにとって、金のような所謂代替投資のミッションは絶対的リターンの追求にあるのだから。でも、大半のETF保有者はbuy and hold=長期保有なのだ。そうでなければ、なにも特定保管などという面倒なプロセスで現物をわざわざ金庫に置き続ける必然性がない。レバレッジを求めるなら先物のほうが絶対優れているワケだし。
なお、銀のETFが大騒ぎだが、金の経験から言えば、今のSEC(証券取引委員会)は病的といえるほど審査が厳しいから、AMEX(ニューヨークにあるアメリカン証券取引所)上場という場が確保されたからと言って、そうトントン拍子に進むとは思えない。特に、金に比し銀は市場規模が小さいだけに、投資家保護という錦の御旗を掲げるSECとしては神経質にならざるを得ないところだ。金はSEC審査に一年半かかった。これはパイオニア的ハードルが高かったことによるのだが、さて、SECがどれほど貴金属という新たな投資媒体に対するアレルギーに慣れたかな。