豊島逸夫の手帖

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回顧と展望-CNBCでの発言要約

2006年12月22日

昨晩日経CNBCの番組出演にての筆者発言をまとめておく。

加藤キャスター:今年の相場の特徴は
豊島: ずばり、「ヘッジファンドの売り vs 年金買い」の構図である。ETFを通じての年金買いをテコに700ドルまで急騰。ヘッジファンドの利益確定売りで500ドル台へ急落。そして下がったところを年金が再び買い上がった。
加藤: 一部では、金の上昇サイクルは終わったという意見もあるが?
豊島: (本欄12月14日付にあるイメージ図を示しながら)金という商品のサイクルを見るに、従来の静的サイクルから今や動的サイクルに移行した。市場内に構造的変化が見られるためだ。ヘッジファンドなどが短期的売買を繰り返している間、一貫して中国、インドなどのアジアマネー、中東、ロシアのオイルマネー、そして欧米の年金マネーが長期的に買い続けている。この傾向は来年も継続しよう。
加藤: 来年のポイントは?
豊島: 「二つの1兆ドルの臨界点」と「ドル離れ加速」ということだ。米国経常赤字は1兆ドル近くまで膨張。中国の外貨準備は既に1兆ドル超え。2007年は、それが臨界点に達する可能性がある。前者では、為替メカニズムによる本格調整=ドル安。後者では、ドルからユーロそして金への(ドル離れ)分散傾向の加速だ。
加藤: 確かに金利面から見ると、ドル安を予想する見方が増えているようだが。
豊島: 金利上昇サイクルを見るに、米国は9回表、欧州は5回裏、日本は1回裏。金利差要因によるドル買いが続くとは思えない。
加藤: 中国の動向も気になるところだが。
豊島: 2005年末に民間銀行金解禁、2006年に行内インフラ構築、そして2007年に本格的業務開始へと動いている。中国の金投資元年とも言えよう。

裏話―実は昨日昼過ぎに別の某局で正月番組用収録があったのだが、スタジオの乾燥した空気の中で咳止まらず、えらく迷惑かけてしまった。その後のナマ出演で、正直ビクビクだったのだ。咳が止まらない場合の加藤キャスターのフォローまで準備して。結果は、何とか切り抜け。特にディレクター氏はホッ...。

2006年